il cielo la foresta

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桜上水という上水はない!?】il cielo la forestaは京王線桜上水」駅から徒歩5分ほどのところにたっている。桜上水という地名は、駅の北側に流れる玉川上水の堤に桜並木があったことから名づけられた。玉川上水は杉並区下高井戸に流れており、駅名に由来した地域なのである。

【紛糾!桜上水団地建て替え問題(その1)】桜上水の地域は、多くの住民に愛され、コミュニティが生まれてきた。桜上水団地もそのひとつである。桜上水四丁目に位置する第一回世田谷界隈賞を受賞している。40年以上の歳月を経た区の保存樹木96本を含む大小樹木5千本以上の深い緑に包まれている。

【紛糾!桜上水建て替え問題(その2)】桜上水団地は、昨年に4年越しの建て替え決議が可決された。しかし、世田谷区の桜上水団地建て替えに区分所有者から事前差し止めの行政訴訟が提起された。儲けるのはデベロッパーだけで、建替後の管理費なども上昇すると指摘されている。今後の動向が気になる。

【まっすぐすぎる荒玉水道道路(その1)】桜上水駅から荒玉水道道路を南下したところにil cielo la forestaはある。それにしても荒玉水道道路はどこまでもまっすぐな道である。都心では蛇行した道路が多い中、特殊な道路である。それは、「水道道路」という名称と深い関係がある。

【まっすぐすぎる荒玉水道道路(その2)】水道道路は主に上水道に供される原水または浄水の輸送管を埋設した土地の上に設けられた道路である。そのために水道設備の間を極力最短距離で結ぶよう設計されている。周囲の道路や地形にかかわらず一直線に延びていることが多いが、道路幅は狭いのが特徴だ。

【隆起する外観(その1)】荒玉水道道路桜上水交番前から少し入ったところにil cielo la foreataは建っている。建っているという表現よりも地面から隆起しているような感じを受ける。それは、建物の外観が特徴的であるからだ。鉄筋コンクリート構造だが、仕上げ材が凝っている。


【隆起する外観(その2)】外観の仕上げ材として、茶色の荒めの砂で左官仕上げとしている。ただ単に材料を塗っているのではなく、ボーダーの模様を手作業でつけている。その模様が地層の断面をような表現となっている。新築であるけれども、何百年も前から存在していたような雰囲気を醸し出している。

【安定と不安定が織り成すバランス】また、外観にはキャンティレバーでブラックボックスの居室が張り出している。地中から隆起したような安定した外観とその壁から不安定に飛び出したボックスのバランスが、見るほうを興奮させてくれる。そこに何が起こっているのかを確認したい欲望を駆り立てるのだ。

【ヨーロッパの山岳都市のような石畳】最新のオートロックのドアを開けると、その先に石畳の共用廊下がある。石畳といっても、日本庭園のような大きな石を用いるのではなく、イタリアの山岳都市シエナのような小さな正方形を石を並べているのである。その細かな凹凸が足の裏から伝わってきて心地よい。

【フラット→メゾネット→トリプレックス】il cielo la forestaは、デザイナーズ物件には珍しくワンルームの部屋がない。すべてが2LDK以上の部屋という建物である。さらに、フラットタイプはなくメゾネットタイプか、さらにその上のトリプレックスタイプとなっているのである。

【階段から始まるエントランス】メゾネットやトリプレックスであるために階段は必要である。特に2階と3階のメゾネットの場合、1階の玄関ドアを開けたらすぐに階段が現れる。この階段を単に昇降するための空間ではなく、その段差を利用して靴や小物を並べてたりして、オリジナリティを出してみたい。

【白の空間(その1)】il cielo la forestaの地中から隆起したような荒々しい外観とは対照的に部屋は真っ白である。それは外部の自然と対照的に不自然なほど白い。白の空間は、いつしか人々の憧れとなっていった。その大きな要因は、モダニズムと写真と深い関係があるように思う。

【白の空間(その2)】もともと住居はその地域に根差しており、その地域の風土や環境に合わせて建てられてきた。しかし、近代になりモダニズム建築を広めていくことになった要因として、写真がある。当時の写真は白黒で色を表現することができなかった。だから、白の空間が写真として伝えやすかった。

【白の空間(その3)】そして、モダニズムは白の空間であることによって前時代の建築を一掃した。しかし、一掃したかのように思えたが、実際に住む人はたくさんの色を持っている。いつしか白の空間は、住む人の無地のキャンパスへと変わっていた。白の空間はあなただけの部屋を作れるチャンスなのだ。

【清潔感ならステンレス・キッチン】2階のリビングダイニングに主役として鎮座するのは、アイランド型キッチンである。キッチンという場所は生活の聖域である。毎日の食事を作るところであるから、生活感がでる。その生活を美しく、清潔であることを表現するために、欠かせないのがステンレスである。

【モザイクタイルの積分的な美しさ】浴室と洗面とトイレは水周りとしてまとまっている。しかし、ひとつひとつが十分の広さがあるので、窮屈には感じない。さらに床と壁が白のモザイクタイルを使っている。これは大きなタイルとは異なり、小さな要素がまとまり、大きな面を構成している美しさは必見だ。

【エアコンのあるべき姿(その1)】現代の住まいにおいて、空気環境は重要な要素である。特に日本のように高温多湿の地域ではなおさらだ。エアコンメーカーも凌ぎをけずる。快適な機能があるエアコンは多いが、その長方形のフォルムはどのメーカーは変わりがない。そのフォルムは美しいとは言い難い。

【エアコンのあるべき姿(その2)】空気環境は自然であることが人間にとって重要である。エアコンのフォルムもその空間に自然に溶け込むものでなければならない。il cielo la forestaのエアコンは天井埋め込み式でフォルムが見えない。それは空気のような存在となっている。(完)

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OZIO代々木

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木久蔵ラーメンを食べたい人は代々木へ(その1)】OZIO代々木は、その名称どおりに代々木駅から徒歩5分のところにある。代々木駅はサラリーマンが多いので安くて美味しいお店が数多くある。そのなかで気になるお店を発見。林家木久扇(初代林家木久蔵)が手がけるラーメン、木久蔵ラーメンだ。

木久蔵ラーメンを食べたい人は代々木へ(その2)】木久蔵ラーメンは、現在は代々木の1店舗のみとなっている。通信販売やネットショップでも購入できる。コンセプトは「昔懐かしい中華そば」であり、麺は中力粉と強力粉をブレンドしたちぢれの細麺、スープは関東で人気の醤油ベースのあっさり味だ。

木久蔵ラーメンを食べたい人は代々木へ(その3)】木久蔵ラーメンがまずい、というネタが始まったのは、中華料理人とラーメン作りで対決の際、ゆでる麺をこぼすなど上手く行かず、散々な目にあったことが始まり。「旨い」と宣伝するよりも「まずい」と宣伝したほうが食べた時に感動があるとの噂も。

【閑静な住宅街にひっそりと】OZIO代々木は代々木駅から近いが、ビジネス街の中にあるのではなく、すこし離れた閑静な住宅街に建っている。OZIO代々木は遠くからも探すことはできない。近くになって初めてその存在に気がつくのである。外壁とバルコニーのガラスのフェンスが絶妙なバランスだ。

南アフリカ・カラー(その1)】一昨日の南アフリカ・ワールドカップは日本中が興奮した。日本の熱気もさることながら、南アフリカの熱気もすごいことになっている。ブブゼラという民族楽器をはじめて知ったが、最初はうるさいと感じたが、徐々に心地よくなってゆくのが、なんとも不思議なかんじだ。

南アフリカ・カラー(その2)】開幕戦は首都ヨハネスブルグにあるサッカーシティスタジアム。ホスト国の初戦ということで、全世界が注目した一戦であった。試合内容は素晴らしかったが、スタジアムの外壁に心が奪われた。アースカラーを取り入れた外壁は南アフリカの大地に溶け込んでいて、美しい。

南アフリカ・カラー(その3)】そのカラーリングは何処かで見たことがあると感じていた。そうだ、OZIO代々木のエントランスアプローチにそれはあった。それはメールボックスを隠すためのルーバーであったが、熱気と興奮の南アフリカ・カラーだったのである。それは中庭に続くプロローグである。

【中庭は入居者のオアシス(その1)】エントランスのオートロックドアの先に、入居者だけの空間である中庭がある。エントランスアプローチからはガラス越しには少ししか中を見ることができない。それは、ガラスに森をイメージしたカッティングシートが貼られているからである。オートロックを開けた。

【中庭は入居者のオアシス(その2)】中庭は白で統一された美しい空間となっている。まさしく、それはスペインのアンダルシア地方の開放的で情熱的な中庭空間を再現しているような雰囲気があるのだ。すべての住戸の玄関ドアが中庭を向いていることも共同体としての集合住宅の意識の高さがうかがえる。


【階段に軽さを表現するための工夫】中庭は避難経路としての役割も果たしているために、避難階段がある。階段という存在は、空間の中にかなりヴォリュームを持つ。階段があるだけで空間がデッドスペースになりかねない。そのような時は階段を軽く見せる。OZIO代々木はグレーチングを採用している。

【ヴォイドのある空間(その1)】OZIO代々木には数多くの間取りがある。その中でも注目すべき間取りは、ヴォイドがあるお部屋だ。ヴォイドとは、吹き抜けのような何もない空間である。無駄な空間であるのだが、他の空間とつながりを持ったときに、そのヴォイドの可能性は無限大に広がるのである。

【ヴォイドのある空間(その2)】玄関ドアを開けると、右側にシューズクロゼットがある。一人暮らしには十分の大きさである。そして、左側はトイレである。この部屋は、トイレと洗面と浴室がしっかりと分かれているのは嬉しい。玄関からヴォイドを介してキッチンとベッドルームに絶妙に分かれている。

【ヴォイドのある空間(その3)】この部屋のヴォイドは多くの機能を果たしている。まずは換気。キッチンとベッドルーム、そして浴室に面しているので、どの部屋からも換気することができる。これは今までにない間取りである。キッチンはサブ的な存在なので、どうしても日陰に追いやられることが多い。

【ヴォイドのある空間(その4)】この部屋はワンルームである。ワンルームの部屋だと角部屋でない限り、窓を1面しか取ることができない。部屋の空気を正常に保とうとするためには、2面開口での通気が必要となる。これは目には見えないことであるけれども人間の生活にとって非常に重要なことである。

【ヴォイドのある空間(その5)】OZIO代々木は代々木駅から近いということもありコンクリートジャングルに埋もれている。だから、部屋からの景色はお世辞にもいいとは言えず、採光も厳しい。そのような不利な条件をヴォイドは、適度な光を部屋に取り入れるための装置として機能しているのである。

【最後の決め手はトランクルーム(その1)】OZIO代々木は、デザイナーズ物件のなかでも収納はしっかりとスペースを確保している。その上、有料であるけれども、トランクルームまで完備していることは嬉しい。最近はトランクルームが注目を浴びている。敷金や礼金がかからないことも魅力的である。

【最後の決め手はトランクルーム(その2)】OZIOとは、イタリア語の「優雅なくらし」という意味がある。現在における優雅なくらしは、必要以上にモノがあるゴージャスライフから、必要最低限のモノがあるシンプルライフにシフトチェンジしている。トランクルームはその牽引役となっている。(完)

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SEED+63

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【仁王像がアントニオ猪木!?(その1)】SEED+63は東急池上線「池上」駅から歩くこと5分ほどのところにある。池上本門寺への大通りの脇に入った閑静な住宅が密集している地域だ。池上本門寺のお膝元ということで街は雰囲気は落ち着いており、時にはこどもたちの楽しい笑い声が聞こえてくる。

【仁王像がアントニオ猪木!?(その2)】池上本門寺は、旧寺格は大本山である。山号を長栄山、院号を大国院、寺号を本門寺としており、古くより池上本門寺と呼ばれてきたのであった。また、日蓮上人入滅の霊場として日蓮宗の十四霊蹟寺院のひとつとされており、七大本山のひとつにも挙げられている。

【仁王像がアントニオ猪木!?(その3)】池上本門寺の本殿は、1969年に戦災で焼失した釈迦堂を再建したものであり、戦後に建てられた近代仏堂建築として評価が高い。本殿正面を入ると、左右に祀られている仁王像は、彫刻家の圓鍔勝三によるものであり、なんとモデルはアントニオ猪木なのである。

【浮遊する外観(その1)】閑静な住宅街の小道を進んでいくといきなり個性的な外観の建物が現れる。それがSEED+63である。集合住宅といえば、ヴォリュームがある建築物という印象を持つ人も多いかもしれないが、このSEED+63を見てみると、そのヴォリュームを感じとれないかもしれない。

【浮遊する外観(その2)】その理由は、1階部分がすべて曇りガラスで覆われているために、ガラスの上に建物が建っているような、奇妙な浮遊感がある。建物をガラス張りにして建物をイメージとして消し去る方法もあるが、建物を浮遊させ、そのヴォリュームに軽さを与える方法も街並みに有効のようだ。

【ウッドデッキ・エントランス・アプローチ】エントランスまでのアプローチは重要である。昔の日本家屋においても、門扉から玄関までを庭園のように仕上げて客人を出迎えてきた文化がある。SEED+63のエントランスアプローチはウッドデッキとなっている。この非日常が心地よい感覚を生んでいる。

【魅せるエントランスは図面では分からない(その1)】ウッドデッキのアプローチを抜けて、オートロックパネルの空間に入る。図面で見ると単なる箱である。しかし、実際にその空間を体験すると、魅力的な箱になっているのである。まずは、図面では単なる壁となってるが、左官の鏝で模様を描いている。


【魅せるエントランスは図面では分からない(その2)】その壁を今度は間接照明で照らしているので、鏝で生み出された凹凸がより立体的に浮き上がっている。そして、反対側の壁は足元だけガラスのFIXとなっており、そこには青白い光が放射しており、図面では感じることのできない空間になっている。

【実際はあまり使わないけれども】オートロック・ドアを開けると、そこにはホテルの待合室のようなホールがある。ソファーとスタンドライトが設置してあり、外部のウッドデッキを眺めることができる。集合住宅では必要ではないかもしれないが、生活を豊かにしてくれる装置として機能するかもしれない。

【コンパクトルームの是非を問う(その1)】SEED+63には多くの間取りがある。そのほとんどが20〜22m2という小さい部屋だ。ディベロッパからしてみると部屋を小さく区切って、たくさんの人を入居してもらったほうが合計の賃料は大きくなる。しかし、住む人も小さな部屋では満足しない。

【コンパクトルームの是非を問う(その2)】入居者とディベロッパーの鬩ぎ合いおきる部屋の広さが、20〜22m2なのである。この大きさの部屋を魅力的に作ることができるならば、ディベロッパーと入居者がハッピーになるのだ。では、SEED+63はどのように魅力的な空間を作り出しているのか。

【すべてを見渡せるエントランス】まずエントランス。エントランスは広くて部屋とは扉で区切られていたほうがよい。しかし、それでは20〜22m2に収まらなくなる。とりあえずエントランスからは部屋は見えてしまう。しかし、その緊張感が部屋をキレイにしようとするモチベーションとなるのである。

【床の素材で空間を分けるテクニック】やっぱりキッチンとベッドルームは同じ空間に共存することになる。20〜22m2の部屋では避けては通れない。では、どのようにして空間を分けるか。その答えは床にある。ベッドルームはフローリング、キッチンはタイルというように素材で空間を分けるのである。

【部屋を小さく見せないポイントは窓】部屋を小さく見せないためにも窓選びが重要である。もちろんバルコニーがあるのはいいが、部屋に対して全面がバルコニーに面するよりも、半分だけバルコニーのほうが空間としての変化が出る。バルコニー用の掃きだし窓と遠景を眺める腰高の窓を上手に選択したい。

【どのようなかたちでも収納は必要不可欠】20〜22m2の部屋では、収納が肩身の狭い思いをすることがある。しかし、生活するうえで収納というスペースは必要不可欠である。SEED+63はしっかりと収納スペースをとっている。誇るべきことである。その収納は使い方次第では無限の可能性がある。

【浴室のささやかな贅沢】水周りはコンパクトにまとめられている。洗面台も決して大きくはないが、独立洗面台としての機能は、問題なく果たしている。浴室も大きくはない。けれども、浴室乾燥機が標準で取り付けられているのは嬉しい。さらに、浴室のささやかな贅沢としては、浴室に小窓があることだ。

【SEED、それは新たなるスタンダード(その1)】SEEDと聞いてガンダムSEEDを想起する方も多いだろう。ガンダムSEEDが21世紀の新しいガンダムのスタンダードを目指した種(SEED)であったように、この建物もデザイナーズの新たなるスタンダードを目指して建築されたように思う。

【SEED、それは新たなるスタンダード(その2)】それは、20〜22m2という生活面積のなかで、どのような空間の可能性を引き出すことができるのか、ということである。これからは省エネのコンパクトシティが重要であるように、住まいもコンパクトでありながら豊かさを目指す時代である。(完)

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BEKKA

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【ちょっと散歩に甘酒横丁へ(その1)】BEKKAは小伝馬町駅から徒歩1分のところにあり、ほとんど駅ビルのような感じである。小伝馬町は昔は吉田松陰が投獄された牢獄があったが、現在ではその面影もなく、オフィス街へと変貌を遂げている。ちょっと足をのばすと人形町の駅があり甘酒横丁がある。

【ちょっと散歩に甘酒横丁へ(その2)】甘酒横丁の由来は、明治の初め頃に、この横丁の入り口に尾張屋という甘酒屋があったことによる。現在では多くの飲食店が軒を連ね、休みの日は観光客でごった返している。有名なお店は「玉ひで」。親子丼を考案した店として、週末のランチには長い行列ができる。

【純白のドレスを纏った外観】人形町で夜遅くまで飲んで食べて遊んでも、歩いて戻れる距離にBEKKAはある。建物高さは、他の建物に比べても抜きに出ている。そして、外観の白いタイルが陽の光で輝いている。それはまさしくジューンブライドに心をときめかす純白のドレスを纏った花嫁のようである。

【さりげないエントランスがカッコいい(その1)】デザイナーズ物件では、建物の顔となるエントランス部分をどのように魅せるのか、ということが重要である。エントランスであることを主張し、派手に目立たせるやり方もあるが、もう一方では、エントランスであること主張しない控えめなやり方がある。

【さりげないエントランスがカッコいい(その2)】BEKKAでは、派手なエントランスと控えめなエントランスが同居している。それは前面通りを歩いているとエントランスを見過ごしてしまうほど街に溶け込んでいる。しかし、エントランスのドアの前に立つと西洋の城門が開くような壮大な開閉をする。

【こだわる時はとことんこだわる】BEKKAのエントランスホールは決して大きくはない。しかし、空間は大きくはないが落ち着いた高級感がある。その要因は、エントランスホールの壁にある。壁一面に大谷石が使われており、その孔のある独特の素材の良さが空間のクオリティを高めているように感じる。

【まさかの宅配ボックス(その1)】デザイナーズに関係なく都心でのマンションで欠かせないのは、24時間ゴミ捨て場と宅配ボックスである。宅配ボックスは、エントランスの目につく場所にあるので、デザインが重要となる。BEKKAでは、なんと宅配ボックスが木のボックスで隠されているのである。

【まさかの宅配ボックス(その2)】BEKKAのオーナーはかなりのこだわりを持っていると思われる。宅配ボックスはオールステンレスで隠さなくてもカッコいい。それでも隠す理由は、空間のバランスを考慮したためであろう。空間の要素にステンレスがないために宅配ボックスを消すことをしたようだ。

【ワンフロアに2部屋の贅沢】都心ではワンルームマンションが増えている。ワンルームの需要が高いということもあるが。貸主側の思惑もある。それは、大きな部屋よりも細かい部屋のほうが、ワンフロアに対する合計の賃料を高く取ることできる。BEKKAのように大きな部屋は都心では珍しいといえる。

【石畳のリビングダイニング】玄関ドアを開けると、いわゆる玄関土間というものが存在しない。玄関からリビング・ダイニング・キッチンへと繋がっている。そのフロアは石畳で仕上がっている。その漆黒の石畳は、シックな大人の上品な空間を演出してくれる。そして、大人の疲れを癒してくれるのである。

【生活感が露になるキッチンという魔物】キッチンというのは、実はベッドルームよりも、自分の生活空間を表現している。ベッドルームは意識的に見た目をキレイにしようと試みるが、キッチンは使い勝手を意識して見た目が疎かになる。そのような時に、BEKKAではキッチンを丸ごと隠してしまうのだ。

【必ず喜ばれる秘密の空間とは】実はBEKKAの各部屋には秘密の空間がある。それは、床下収納である。デザイナーズ物件でも、ましてや普通の賃貸マンションでも床下収納はなかなかお目にかかれない代物である。施工の手間的には普通の収納と大差はない。あってこんなに喜ばれる空間もそんなにない。

【時には集中したい部屋が欲しい】リビングダイニングは食事や会話を楽しむところ、ベッドルームは安らぐところ、と無意識で決めてしまっている。自分が集中する部屋が欲しいと思うことがよくある。BEKKAにはDENと呼ばれる書斎が付いている。畳一畳にも満たない空間が心地よく思うときがある。

【空間を劇的に変化させる壁(その1)】壁が空間に劇的な変化を与えることなんて可能なのであろうか。BEKKAではそれを実現している。リビングダイニングとベッドルームの間に建具のような薄い壁がある。その壁は、見た目は一枚の壁のようであるが、7つに分割することができ、1枚ずつ回転する。

【空間を劇的に変化させる壁(その2)】その回転を調整することによって、リビングダイニングとベッドルームがひとつの空間として繋がっていく。さらにその魅力は夜に発揮される。ベッドルームに設置してある複数のスポットライトが壁を照らす時、そこは幾重の光が重なり幻想的な空間を生み出すのだ。

【壁一面の収納の魅力】デザイナーズ物件は収納力が弱いということが言われた時期もあった。しかし、最近のデザイナーズは収納も充実している。その理由として、空間を魅せるためには、ある程度の私物を隠す必要があるからだ。時に私物は空間を台無しにする可能である。たとえば、領収書や請求書の束。

【凸凹のスカイライン(その1)】BEKKAの最大の魅力は、ビューバスである。都会のコンクリートジャングルで働く戦士にとって休息は大事である。それが明日への活力となる。しかし、ビューバスから見える風景は、オーシャンビューのような水平性のスカイラインではなく凸凹のスカイラインである。

【凸凹のスカイライン(その2)】凸凹のスカイラインとは、都心部の街並みの高さ規制があいまいで、ちぐはぐな高さになっている風景である。確かに、そのような風景を見ても心は癒されないかもしれない。でも、その建物に灯る光を見ると、混迷の時代を生き抜こうとする日本人の生命力を感じる。(完)

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プラウドフラット新宿御苑

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【THE 国民公園(その1)】プラウドフラット新宿御苑は、その名の通り、新宿御苑の脇に建っている。新宿御苑はもともとは江戸時代に信濃高遠藩内藤家の下屋敷のあった敷地である。1879年に新宿植物御苑が開設され第二次世界大戦後は一般公開され、現在は環境省国民公園として親しまれている。

【THE 国民公園(その2)】国民公園とは、環境省が管理する公園の一つであり、国が設置・管理する公園で、都市公園・自然公園以外のものを指している。旧皇室苑地である皇居外苑新宿御苑京都御苑の3箇所が国民公園となっており、その中でも緑地部分の最大規模を誇るのが、新宿御苑なのである。

【THE 国民公園(その3)】御苑内は約58haに日本庭園、イギリス風景式庭園、フランス式整形庭園を組み合わせており樹木の数は1万本を超える。桜は約 1300本あり、毎年4月上旬に内閣総理大臣主催で「桜を見る会」開催され、政財界や文化・芸能、スポーツ界などの各界の著名人が招待される。

【ガラスの箱のチャレンジ(その1)】プラウドフラット新宿御苑に一番近い駅は、都営大江戸線「国立競技場」駅である。地下の駅改札から地上出口につくと建物が遠くに見える。その特徴的なラウンドフォルムの塔とガラスボックスが見える。ガラスボックスは、太陽の光で七色にひかり輝いているようだ。

【ガラスの箱のチャレンジ(その2)】物体としての力強さを誇示するかのような建築物は、環境破壊、景観破壊の代名詞のように取り上げられることが多い。そのような時代に建物に透明性を求める動きが強まっている。透明であることによって景観に溶け込もうとするが、その方法は賛否両論となっている。

【ガラスの箱のチャレンジ(その3)】住居でガラスの箱という試みはチャレンジである。なぜならば、360度のパノラマビューを独占できるが、逆に360度から自分の部屋を見られてしまうというデメリットもある。それでも新宿御苑を借景できるのであれば、そんなことは些細なことなのかもしれない。

【質素なエントランスは異空間の入り口】ガラス箱とマッシブな塔という個性的であるにもかかわらず、エントランスは意外にも質素である。それは不思議の国のアリスで、アリスが迷い込んでしまう迷宮の入り口のような空間の歪みよって生じた裂け目のようなエントランスである。あなたの物語の始まりだ。


【マサオ・イン・ワンダーランド(その1)】マサオがエントランスに立っていると服を着た白うさぎがすぐ近くを走ってきた。その白うさぎはチョッキの中から懐中時計を出して「たいへんだ!遅刻しちゃう」と言いながら大急ぎだ。マサオは白うさぎを追いかけた。白うさぎは大きなうさぎ穴に飛び込んだ。

【マサオ・イン・ワンダーランド(その2)】マサオも急いで白ウサギを追いかけてその穴に飛び込んだ。長い穴を落ちて行きマサオはどしーんと小枝や枯葉の上に落ちた。マサオは白うさぎを追いかけたが見失ってしまった。歩いていくとテーブルがあり上にはビンが置いてあり「私を飲んで」と書いてある。

【マサオ・イン・ワンダーランド(その3)】それを飲むとマサオの体は小さくなっていった。ケーキを見つけて食べると今度は体が大きくなった。悲しくて泣いていると涙が池になりマサオはまた小さくなりその池の中に落ちてしまった。そしてドードーたちとコーカスレースという競争をすることになった。

【マサオ・イン・ワンダーランド(その4)】そのレースに参加した皆が優勝した。その後も大きくなったり小さくなったりを繰り返した。ブタになってしまうという奇妙な赤ちゃんにも出会った。森を歩いていると口が大きなチェシャ猫がマサオに道案内をしてくれた。そしてマサオはあるお茶会に参加した。

【マサオ・イン・ワンダーランド(その5)】そのお茶会には帽子屋と三月うさぎがいた。それはいつまでも終わらないお茶会であった。マサオは、そのお茶会を後にして歩いて行くことにした。すると鮮やかな花が咲いている綺麗な庭にたどりついた。その庭には、庭師がいて何やらもめているようであった。

【マサオ・イン・ワンダーランド(その6)】庭師は赤のバラを植えるはずが間違えて白のバラを植えてしまったであった。そこで白のバラを庭師たちは赤くペンキで急いで塗っているところだったのである。なぜならば、白いバラが女王に見つかると首をはねられてしまうのである。そこへ女王がやってきた。

【マサオ・イン・ワンダーランド(その7)】女王はマサオを見てクロケーに誘った。マサオはクロケーに参加したが妙なルールでボールはハリネズミ、それを打つ棒はフラミンゴだった。女王は試合中「首をはねておしまい」と何人もの人に言った。マサオは試合を終えて歩いていくと奇妙な動物に出会った。

【マサオ・イン・ワンダーランド(その8)】その動物は頭がブタで体がカメというウミガメモドキとグリフォンであった。マサオとグリフォンは法廷に向かった。そこでは「誰がパイを盗んだか」という裁判が行われていた。ハートの女王が一日がかりでパイを作ったのだが、そのパイが盗まれたのであった。

【マサオ・イン・ワンダーランド(その9)】ハートの女王のパイを盗んだ容疑者として、ジャックが捕らえられていた。あの白うさぎもその法廷の場所にいた。片手にはラッパ、もひとつの手には裁判の巻物をもっていた。マサオは、法廷に入ったときは小さかったのが、どんどんと体が大きくなっていった。

【マサオ・イン・ワンダーランド(その10)】マサオも陪審員の質問に答えたが、女王は怒ってしまい「この子の首をはねておしまい」と言った。トランプの兵隊たちが近づいてくると、マサオは「お前たちはただのトランプだ」と言った。それを聞いたトランプはマサオの方へ舞い上がりヒラヒラと落ちた。

【夢の続き】多くの人々は、デザイナーズ物件に夢を見る。それは決して悪いことではない。しかし、時にはデザイナーズ物件が悪夢となってしまうこともある。どれだけ感性豊かな建物でも、いつかは朽ち果てる。デザイナーズ物件をいつまでも魅力的なものにするには、住む人の想像力が必要である。(完)

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カラム

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【今でも活気溢れる横山町・馬喰町問屋街(その1)】カラムは都営浅草線「東日本橋」駅から徒歩2分のところにある。この周辺は東京の中心、中央区千代田区に及ぶ巨大な問屋街となっており、江戸通り清洲橋通り靖国通りの大通りに囲まれており日本最大の現金卸問屋街として世界的に有名である。

【今でも活気溢れる横山町・馬喰町問屋街(その2)】全国からの仕入れ客で今でも変わらず賑やかな町である。約1500の商社や店舗が軒を並べ、特に衣料・繊維品・服飾品なら、ないものはない。各店が競争しつつ、足りない点を補い、流行に敏感に、独自の工夫を凝らして賑やかな街づくりをしている。

【今でも活気溢れる横山町・馬喰町問屋街(その3)】基本的に昔からやっている問屋は、個人への小売はしないのがルールだったが、流通ルートの中抜きも常態化している近年ではそうでもなくなっている。逆に小売をしない店は、店先にその旨を明示しているケースが目立つが、年々少数派となりつつある。

【変形三角敷地に継承された外観(その1)】カラムの敷地は、三角形だ。以前は1930年に竣工した「第1コスガビル(旧両国ビルヂング)」が建っていた。この建物の建て替えの話が浮上した時に地元の問屋街の人たちは由緒ある建物を何とか残したいと考え、地元の力が大手ディベロッパーを動かした。

【変形三角形に継承された外観(その2)】昭和のイズムをイメージとして継承して、新しくカラムとして生まれ変わったのだ。5階までは既存の建物のイメージを活かしてベージュのタイルを用いて、ハリボテにならないように現代のデザインに置換することによって、新しい問屋街のシンボルとなっている。

【緑タイルの鮮やかなエントランスドア(その1)】1階には、婦人服店舗が入っている。また、機械式の駐車場のターンテーブルも設置してある。さらに住居専用の共用エントランスのオートロックドアがある。三角形の変形敷地でこれだけの要素が入っていると、一番の犠牲となるのは共用エントランスだ。

【緑タイルの鮮やかなエントランスドア(その2)】しかし、その狭いエントランス部分に緑タイルを用いることでオリジナリティを出している。通常のエントランスは、白を基調にすることが多いが、その定石を裏切って緑という難しい色に挑戦することによって、ここがエントランスであることを強調する。

【中廊下に浮かび上がるナンバー】エントランスホールからエレベータで7階まで上がる。三角形の敷地と大通りに囲まれるために景観を壊さない為にも、外廊下はできず必然的に中廊下になる。中廊下の弱点は暗さにある。しかし、その暗さを活かして部屋のナンバーをバックライトで浮かび上がらしている。

【都心で40m2という魔力(その1)】三角形の敷地で狭い上に、さらに一部屋が40m2確保されているというゆったりした設計であるので、ワンフロアには5 部屋しかない。実は事業的には小規模サイズ(25〜30m2)の方が運営しやすいのであるが、地域的な条例で40m2ということに決まった。

【都心で40m2という魔力(その2)】都心のマンションは、その事業的採算性から20〜25m2で作られることが多い。しかし、都心で働くニューリッチな人たち(年収800万円以上)にとって、25m2では小さすぎて、50m2では大きすぎると感じており、実は40m2はジャストサイズなのだ。

【部屋の間取りは大きく分けて2つ(その1)】部屋の間取りは、ワンルームがあったり、メゾネットがあったり、床がタイルカーペットになっていたり、床がフローリングになっていたりと様々なパターンがあるが、大きくて分けて考えてみると2つに分けることができる。それは、キッチンの位置で決まる。

【部屋の間取りは大きく分けて2つ(その2)】生活するために必要となるのが水周りである。トイレやバスはサブ空間となるが、キッチンはメイン空間とリンクされている。キッチンは生活という視点で考えた時に間取りに影響を与える。センターキッチンかサイドキッチンかによって、生活の意味が変わる。

【アクティブスタイルにはセンターキッチン(その1)】カラムの間取りのなかで一番多いのがセンターキッチンの間取りである。部屋の中心にキッチンが鎮座している。どこからでもキッチンを見ることができる。キッチンを生活の中心として捉えることが必要である。新しい自分が発見できるかもしれない。

【アクティブスタイルにはセンターキッチン(その2)】最近はお弁当男子が流行っている。彼らは単にお弁当を作っているのではなく、お惣菜の材料を買いに行くというアクティブな行動を生み出しているのである。キッチンでの作業は、キッチンだけでは完結しない。それは外部へと繋がっていくのである。

ワーカホリックにはサイドキッチン(その1)】仕事はストレスが溜まるものである。それを解放するために都心よりも郊外に住みたいというのが一昔前の考え方であった。しかし、ワーカホリック(仕事中毒)は休みも仕事のことを考えていたい。だから、都心に住んでその神経を研ぎ澄ましたいと考える。

ワーカホリックにはサイドキッチン(その2)】ワーカホリックは住まいに対して寝に帰る場所と位置づけている。それは、動物的な感覚に近い。食事は外で済ますか、出来上がったものを買ってくる。彼らにとってキッチンは脇役。主役はベッドである。だから、寝室はできるだけ広いほうが好きのである。

【街並みと絡むということ(その1)】デザイナーズ物件の最大の強みは、他のマンションと見た目が個性的で街並みからも目立つ存在であるということである。しかし、目立つことでしか表現できないのであれば、その建物に未来はないだろう。なぜならば次々と新しい目立つ建物が作られているからである。

【街並みと絡むということ(その2)】街並みから目立つのではなく、街並みに溶け込みながら、個性を発揮させる方法もある。それは街並みに対して敬意を表する姿勢が必要で、時には建築家の個性を抑えなくてはいけない。それができた時に、街並みと絡む(カラム)個性的な建物ができるのである。(完)

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サクラノキテラス中目黒

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【ウラナカメで自分だけのお店を探す(その1)】サクラノキテラス中目黒は、中目黒駅から徒歩10分ほどの閑静な住宅街にある。中目黒駅は都心で働く若者たちに人気が高い。目黒川の桜並木は、有名であるけれども、若者たちを惹きつける魅力はそれだけではないようである。ウラナカメなるものがある。

【ウラナカメで自分だけのお店を探す(その2)】ウラナカメとは、中目黒駅から池尻方面へ、山手通りの喧噪を避けて目黒川と西郷山通りに挟まれた辺りを指す。都心にほど近い住宅街に隠れて新旧いろいろなお店が混在する隠れ家的エリア。昼でも夜でも、どこかでなにかを必ず楽しめるエリアのである。

【ウラナカメで自分だけのお店を探す(その3)】ちょっとだけウラナカメで有名なお店を紹介。「アンティロミィ」…都内で唯一食べられる有田焼カレーとおいしいチーズケーキのお店。「旅行会社カフェ」…旅行会社とカフェのニュースタイルでアジアンフードがおすすめのお店。自分だけのお店を探そう。

【路地のそのまた路地の向こうに】実はサクラノキテラス中目黒は、不動産表記上では徒歩6分となっているが、初めていく場合は徒歩10分ぐらいを考えていたほうがいいだろう。なぜならば、路地から更に路地に入っていくような閑静な住宅街にあり、まさしく隠れ家といっても過言ではないところにある。

【サクラノキを包み込むように(その1)】木造3階建てのサクラノキテラス中目黒は周囲の環境に埋もれてしまっている。しかし、目印となっているサクラノキは遠くからでも、その存在感が際立っている。サクラノキを目標に路地を進んでいくと、そこにサクラノキを包み込むような建物が目の前に現れた。

【サクラノキを包み込むように(その2)】よく庭園を包み込むような配置の建物という記載があって、その建物に実際にいってみると、四角い建物がただ庭園を囲んでいるということが多い。それは包み込むのではなく、囲んでいるに過ぎない。包み込むという行為には、きっと優しさが必要なんだと感じる。

【サクラノキを包み込むように(その3)】このサクラノキテラス中目黒には優しさによって、サクラノキが包み込まれている。それはサクラノキの枝の広がりに合わせて、建物が曲線を描いている。そのクロソイド曲線は用いており、環境美がそこに見受けとることができる。貝の中にいるような心地よさだ。

【おはようございますサクラノキ】建物とサクラノキの配置からして当然のことながら、すべての玄関ドアは、サクラノキに面している。毎朝、出勤時、登校時にサクラノキから「おはようございます」と声をかけてくれるような感じがする。日本人は誰もがサクラノキが好きだ。日本美を体現しているからだ。

【外部との関係性からLDKの場所が決まる(その1)】LDKは部屋の中心になることが多い。それは家族の団欒の中心と位置づけられているからだ。だから、玄関からLDKは見えないように配置するのが定石である。しかし、このサクラノキテラス中目黒は逆になっている。玄関とLDKが直結している。

【外部との関係性からLDKの場所が決まる(その2)】その理由は、外部との関係性から生まれているのである。想像してみよう。春、サクラノキが満開となった時、その下で花見をしたい。そして、花見もいいけどおいしい食事も大切だ。出来立ての料理が食べたい。必然的に玄関とLDKは直結するのだ。

【浴室の窓は大きいほうがいい】都心のマンションのユニットバスのほとんどが最新の設備で使いやすいが何か物足りない。その答えは窓である。浴室の窓は設備が使いにくかったとしても、そのことを帳消しにしてくれるほどのパワーがある。この部屋は居室並みの窓がついている。大きくて悪いことはない。

【自然が生み出す色の美しさ(その1)】テラスハウスとなっているので、1階から3階まで3層のメゾネットの住居となっている。その構成は、1階にLDK、2 階と3階が居室となっている。3階の部屋は真っ白な空間で大窓から降り注ぐ陽の光で心地よい。2階の部屋は、木の幹の中にいるような感じだ。

【自然が生み出す色の美しさ(その2)】2階の部屋は、フローリングの色に合わせて壁と天井のシナベニヤも着色がされている。フローリングといっても、その種類は様々である。よく使用されるのはベージュ系のナラ・フローリングだが、ダークブラウン系のチーク、ブラック系のアッシュなど多様である。

【自然が生み出す色の美しさ(その3)】自然が生み出す色の美しさの魅力は、その斑にある。均一の色であると、とても平面的で空間的な深みが出てこないのだ。建築空間が時に美しく見える瞬間がある。それを体験し、そして作り出すことができる建築家という仕事は、一生飽きのこない仕事であると思う。

【ホワイトルームはロフトとして使うことで】3階のホワイトルームは、床がフローリングではなく、カーペットになっている。居室というよりはロフトとしての方が利用価値は高いようだ。2階には収納スペースはあるが、さほど大きくはない。3階を収納スペースと割り切ることで、2階の空間を活かせる。

【サクラノキを絵画のように(その1)】デザイナーズ物件に限らず、最近のマンションにはどこもピクチャーレールがついている。これは、絵画を飾りたい時に、壁を傷つけることなく飾れるように付けられたものである。最初は打ち放しコンクリートの壁に何も飾れないという不満から生まれたものである。

【サクラノキを絵画のように(その2)】どんな絵画がデザイナーズ物件に合うか。幾何学的なモンドリアンや前衛的なアンディ・ウォーホルもいいし、近代建築の巨匠のスケッチなんてのも悪くはない。しかし、どれも本物を手に入れようものなら、とんでもない金額だ。どこかに本物はないかと外を眺める。

【サクラノキを絵画のように(その3)】忘れていた。ここがサクラノキテラス中目黒であるということを。サクラノキを絵画のように見立てれればいい。本物だし、四季を味わうこともできる。そして、このアングルは世界で一枚の絵画だ。複製される近代絵画とは異なるオーセンティックな美がある。(完)

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