GRAVA

http://www.kkf.co.jp/design/yamate/grava/

【ホームランを見たければ東京ドームへ行こう(その1)】GRAVAは、春日駅後楽園駅が近いので、都営大江戸線都営三田線東京メトロ丸ノ内線東京メトロ南北線の4路線が使える。通勤には便利な場所にある。そして、近所には東京ドームシティや小石川後楽園があり休日の遊びには事欠かない。

【ホームランを見たければ東京ドームへ行こう(その2)】夏真っ盛りの今日この頃。ビールを飲んでスカッとした気分になりたいなら、やっぱりプロ野球だ。特に東京ドームはホームランが出やすい。ホームランの出やすさの理由として、左中間・右中間の膨らみが小さく110mしかないことが挙げられる。

【ホームランを見たければ東京ドームへ行こう(その3)】他には屋内球場で湿度が低いために打球が伸びやすい。また、気圧で屋根を膨らませている球場なので気圧によりホームランが出やすいことが指摘されるが、物理的に高気圧で打球が伸びないことはあっても伸びることはないので、これは誤りである。

【住宅街のブラックホール(その1)】GRAVAの場所はちょっと分かりにくい。春日駅を下りて、東京大学の方向に向かう大通りを進んでいき、途中の階段をのぼる。階段を上った先には住宅街があり、その先にGRAVAがあるはずだ。遠めで見てもGRAVAが見当も付かない。それには理由があった。

【住宅街のブラックホール(その2)】なぜならば、GRAVAの通りに面する部分が真っ黒に塗装されているからである。建物の影のように見えていたのである。東京の建築は周囲の街並みと調和することが、どうも苦手のようである。個性を主張するよりも、黒子となることも一つの選択肢としてありえる。

【廃墟が興奮させるエントランス(その1)】都心では容積率を稼ぐために、地下を有効的に活用する。GRAVAも地下を利用しているようだ。エントランスもその影響を受けているので、グランドレベルから2〜3段下がったところにある。でも、ただの綺麗なエントランスではない。廃墟的な要素がある。

【廃墟が興奮させるエントランス(その2)】廃墟が美しいと感じるのは、日本人独特な感覚である。このエントランスには、錆を発生させた鉄板に「GRAVA」というプレートがついている。その錆は、人為的に行われているが、均一ではなく自然的な美しさがある。エントランスをより魅力的にしている。

【玄関からの風景】オートロックのドアをくぐり階段で3階に向かう。共用廊下は片廊下となっており、開放的だ。玄関ドアを開けると、遠くには大きな窓とスチールフレームの階段、近くにはステンレスキッチンが見える。本来であればごちゃごちゃになりがちな玄関からの風景に空間としての一体感がある。

【作業スペースが十分なキッチン】単身者だとキッチンの大きさにはこだわらない人も多いが、料理好きな男性や女性にはキッチンの大きさは重要だ。それは見た目のかっこよさではなく、どれだけ使いやすいかということだ。使いやすさの第一条件は、作業エリアが確保されていることだ。この部屋は合格だ。

【塗装の内側で起こっていること(その1)】壁は打ち放しコンクリートの面と塗装で仕上げた面がある。違いは、断熱しているかどうかである。外部に面する部分は内断熱が施されている。内部同士の壁は温度差があまりないので結露しにくいことから、断熱処理をせずに打ち放しコンクリートとなっている。

【塗装の内側で起こっていること(その2)】内断熱とは、打ち放しコンクリートに発砲ウレタンを吹き付けて断熱面を作っている。そこに接着剤をつけた石膏ボードで覆い隠し、ボード面を下地処理し塗装で平滑に仕上げているのである。なんでもない白い壁が、部屋の快適な環境を作り出しているのである。

【吹き抜けを突き抜ける十字架】部屋の窓には、ブラインドが設置してある。そのブラインドを開放してみる。そこには大きな窓が隠れているのである。吹き抜けを利用した大きな窓は、密集している住宅街であっても太陽の光を燦燦と降り注ぐ。窓の縦桟と横桟が十字架のように神々しく見えてくるのである。

【軽やかなる階段(その1)】メゾネットタイプの部屋は、階段が必要となってくる。螺旋階段は魅力的であるが、場所をとるので小さな空間で取り入れようとするならば、より空間が狭く感じてしまう。階段をどれだけコンパクトにつくるのかというのは、非常に重要な問題である。それは空間の質にも関る。


【軽やかなる階段(その2)】この部屋の階段は、軽やかである。極限のスチールのメンバーによって構成されており、さらに踏面もエキスパンドメタルを使用しているので、見た目も軽やかである。さらに階段の勾配も通常よりも急勾配である。その形状が、かえって軽やかな動作を誘惑しているようである。

【五線譜のような手すり(その1)】階段とセットなのは、手すりである。安全面や強度面を考慮すると、手すりはどうしても無骨になってしまう。絶対的に安全でがっちりとした手すりは、空間のハーモニーを壊してしまう。デザイナーズ物件は、空間のハーモニーを重視しているので余分な要素は排除する。

【五線譜のような手すり(その2)】余分な要素を排除した空間は、まさしく完成されたクラシックのようなハーモニーを生み出す。手すりも必要最低限までスチールのメンバーを絞り込むことによって、この部屋のように五線譜のような手すりとなる。そこには、空間のハーモニーの音符が並んでいるようだ。

【ドキドキする浴室(その1)】個人的な見解だが、浴室は既製品のユニットバスがいい。それは施工技術によるクオリティのばらつきがないからである。しかし、デザイナーズ物件だと既製品のユニットバスは邪道で現場造作の浴室は王道であるという風潮がある。でも、昔は浴室はすべて現場造作であった。

【ドキドキする浴室(その2)】なぜ、デザイナーズ物件の浴室を懸念するのか。それは個性的な空間にするために浴室に無理が生じ、それを施工技術でカバーできないことが多い。水は人間に必要不可欠だが、処理を間違うと人間の住まいを蝕む。だから、現場造作の浴室を見るとドキドキしてしまう。(完)

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