ロジェ二番町

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【麹町今昔物語(その1)】ロジェ二番町は、オフィスビルが立ち並ぶ麹町駅から徒歩2分のところにある。麹町は、古くは糀村(こうじむら)と呼ばれたとも言われている。徳川家康江戸城入場後に城の西側の半蔵門から西へ延びる甲州道中(甲州街道)沿いに町人町が形成されるようになったそうである。

【麹町今昔物語(その2)】町名の由来は、町内に「小路(こうじ)」が多かったためという説、幕府の麹御用を勤めた麹屋三四郎が住んでいたためという説もあるが、府中の国府を往来する国府街道の江戸における出入口であったため、つまりは、国府路(こうじ)の町であったという説が有力であるようだ。

オフィスビルに溶け込む外観】半蔵門の駅からゆっくりと歩いていく。周りオフィスビルで、1階にはサラリーマン相手の飲食店が入っている。平日だと賑わっている通りも、休日ともなると人通りは疎らである。デザイナーズ物件は遠めで見ても目立つ存在だが、ロジェ二番町はオフィスビルに埋れている。

【何かサプライズを期待したいエントランス(その1)】前面の通りから少しセットバックしているので外観を全体で見ることができる。オフィスビルに埋れているようだが、ところどころにデザイナーズの魅力が滲み出ているような感じがする。心をときめかして、エントランスのオートロックを潜り抜ける。

【何かサプライズを期待したいエントランス(その2)】エントランスホールは暖色的なライトが自分のホームに帰ってきたという気持ちにさせてくれる。間接照明により緑のラインが縦横にデザインされている。それはまさしくプレゼントのリボンのようだ。きっとお部屋にはサプライズが待っているはずだ。

【ゆったりしたアルコーブ】エントランスホールの床は、300角の大きなタイルではなくモザイクタイルを敷き詰めている。ピンヒールだとつまずいてしまいそうだが、逆に施工のクオリティの高さが分かる。エレベータで8階に向かう。共用廊下も広い。各部屋にはゆったりとしてアルコーブが設けている。

【内開きの玄関ドアが実現した訳(その1)】アルコーブを設けているメリットは、単調になりがちな玄関に植栽などを設けて、住民の個性を演出できるようにすためである。だから、アルコーブを最大限に有効的に利用するためには、玄関ドアは内開きにしたほうが良い。しかし、内開きはデメリットが多い。

【内開きの玄関ドアが実現した訳(その2)】内開きのデメリットは、専有部分の靴脱ぎ部分に靴を出して置けなくなる。なぜなら、靴がドアに当たってしまうからだ。ロジェ二番町のこの部屋は、この問題を心地よく難なくクリアにする。それは靴脱ぎとなる場所を土間として新たな空間を創造したのである。


【土間がDOMAに変わるとき(その1)】土間という言葉は、日本の住居の文化を凝縮したような言葉である。昔の日本の住居は決まった部屋はなかった。ちゃぶ台を置けば、そこが食堂となり、布団を敷けば、そこが寝室となり、ローテーブルを置けば、そこが客室となる。フレキシブルな空間なのである。

【土間がDOMAに変わるとき(その2)】日本の空間と欧米の空間との大きな違いのひとつに靴脱ぎがある。靴脱ぎは日本独自の文化であり、逆に靴を脱がないで良い空間は玄関だけである。しかし、日本は土間という文化を作り上げて、玄関を拡張することに成功した。そして、今、土間はDOMAとなる。

【土間がDOMAに変わるとき(その3)】土間というのは床がその名の通り、土を固めたものである。衛生的な観点からして現代の住居そして現代のデザイナーズマンションにはフィットしない。しかし、ロジェ二番町のように床石を敷き詰めることによって衛生面も確保され、DOMAとして生まれ変わる。

【石が土間に見えるために】床石を敷き詰める上で、目地を取るようにすると本来の土間の持つ一体感がなくなる。そこで、ロジェ二番町のこの部屋では目地を設けていない。これは敷き詰める職人の技術と正方形である床石の精度が重要となる。日本人だからこそできる技であり、世界に誇れる技なのである。

【漆のようなトップコート】土間となる部分を広く取っているが、居室となる部分にはフローリングとなっている。それも無垢のフローリングだ。無垢のフローリングには、艶無のワックスの方が素材を生かす。しかし、この部屋の艶有のワックスも平滑に塗られていると、日本伝統の漆のような美しさがある。

【収納を美しく見せる壁(その1)】玄関から一番奥に部屋がある。その部屋には当然ながら収納スペースがある。収納スペースをどのように見せるのか、ということはデザイナーズ物件でもあまり問題とならない。なぜならば、収納もないような空間がデザイナーズ物件の象徴のように言われた時代があった。

【収納を美しく見せる壁(その2)】しかし収納がないデザイナーズ物件は見向きもされなくなった。そこで可動式の収納を置くようにした。その程度では離れた心は戻ってこない。この部屋は収納の見え方に特にこだわっている。それは収納ではない壁にも収納の扉がついているような一体感を演出している。

【2 つのエアコン】この部屋には、3台のエアコンが設置されている。リビングと土間で一体となっている寝室には、ビルトインエアコンが設置され、空間がスッキリとしている。完全に個室となるもうひとつの寝室には壁掛けエアコンとなっているが、ダイキンのUXシリーズなのでシンプルでこれも美しい。

【東京の中心でバルコニーを考える(その1)】デザイナーズであるからバルコニーはないという物件が許せない。さらに、浴室乾燥機があるからバルコニーはないという身勝手な物件は嫌いだ。確かに見晴らしが良くないお部屋でバルコニーは必要ないかもしれない。しかし、バルコニーは大切な空間である。

【東京の中心でバルコニーを考える(その2)】ロジェ二番町はバルコニーは広くない。浴室乾燥機があるのでバルコニーで洗濯物を干すこともないだろう。しかしバルコニーに移動可能な木製のスリットパネルがある。それは室内に光の変化をもたらせてくれる。東京の中心でも太陽だけは変わらない。(完)

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