il cielo la foresta

http://www.kkf.co.jp/g/tanaka/ilcielo_fore/

桜上水という上水はない!?】il cielo la forestaは京王線桜上水」駅から徒歩5分ほどのところにたっている。桜上水という地名は、駅の北側に流れる玉川上水の堤に桜並木があったことから名づけられた。玉川上水は杉並区下高井戸に流れており、駅名に由来した地域なのである。

【紛糾!桜上水団地建て替え問題(その1)】桜上水の地域は、多くの住民に愛され、コミュニティが生まれてきた。桜上水団地もそのひとつである。桜上水四丁目に位置する第一回世田谷界隈賞を受賞している。40年以上の歳月を経た区の保存樹木96本を含む大小樹木5千本以上の深い緑に包まれている。

【紛糾!桜上水建て替え問題(その2)】桜上水団地は、昨年に4年越しの建て替え決議が可決された。しかし、世田谷区の桜上水団地建て替えに区分所有者から事前差し止めの行政訴訟が提起された。儲けるのはデベロッパーだけで、建替後の管理費なども上昇すると指摘されている。今後の動向が気になる。

【まっすぐすぎる荒玉水道道路(その1)】桜上水駅から荒玉水道道路を南下したところにil cielo la forestaはある。それにしても荒玉水道道路はどこまでもまっすぐな道である。都心では蛇行した道路が多い中、特殊な道路である。それは、「水道道路」という名称と深い関係がある。

【まっすぐすぎる荒玉水道道路(その2)】水道道路は主に上水道に供される原水または浄水の輸送管を埋設した土地の上に設けられた道路である。そのために水道設備の間を極力最短距離で結ぶよう設計されている。周囲の道路や地形にかかわらず一直線に延びていることが多いが、道路幅は狭いのが特徴だ。

【隆起する外観(その1)】荒玉水道道路桜上水交番前から少し入ったところにil cielo la foreataは建っている。建っているという表現よりも地面から隆起しているような感じを受ける。それは、建物の外観が特徴的であるからだ。鉄筋コンクリート構造だが、仕上げ材が凝っている。


【隆起する外観(その2)】外観の仕上げ材として、茶色の荒めの砂で左官仕上げとしている。ただ単に材料を塗っているのではなく、ボーダーの模様を手作業でつけている。その模様が地層の断面をような表現となっている。新築であるけれども、何百年も前から存在していたような雰囲気を醸し出している。

【安定と不安定が織り成すバランス】また、外観にはキャンティレバーでブラックボックスの居室が張り出している。地中から隆起したような安定した外観とその壁から不安定に飛び出したボックスのバランスが、見るほうを興奮させてくれる。そこに何が起こっているのかを確認したい欲望を駆り立てるのだ。

【ヨーロッパの山岳都市のような石畳】最新のオートロックのドアを開けると、その先に石畳の共用廊下がある。石畳といっても、日本庭園のような大きな石を用いるのではなく、イタリアの山岳都市シエナのような小さな正方形を石を並べているのである。その細かな凹凸が足の裏から伝わってきて心地よい。

【フラット→メゾネット→トリプレックス】il cielo la forestaは、デザイナーズ物件には珍しくワンルームの部屋がない。すべてが2LDK以上の部屋という建物である。さらに、フラットタイプはなくメゾネットタイプか、さらにその上のトリプレックスタイプとなっているのである。

【階段から始まるエントランス】メゾネットやトリプレックスであるために階段は必要である。特に2階と3階のメゾネットの場合、1階の玄関ドアを開けたらすぐに階段が現れる。この階段を単に昇降するための空間ではなく、その段差を利用して靴や小物を並べてたりして、オリジナリティを出してみたい。

【白の空間(その1)】il cielo la forestaの地中から隆起したような荒々しい外観とは対照的に部屋は真っ白である。それは外部の自然と対照的に不自然なほど白い。白の空間は、いつしか人々の憧れとなっていった。その大きな要因は、モダニズムと写真と深い関係があるように思う。

【白の空間(その2)】もともと住居はその地域に根差しており、その地域の風土や環境に合わせて建てられてきた。しかし、近代になりモダニズム建築を広めていくことになった要因として、写真がある。当時の写真は白黒で色を表現することができなかった。だから、白の空間が写真として伝えやすかった。

【白の空間(その3)】そして、モダニズムは白の空間であることによって前時代の建築を一掃した。しかし、一掃したかのように思えたが、実際に住む人はたくさんの色を持っている。いつしか白の空間は、住む人の無地のキャンパスへと変わっていた。白の空間はあなただけの部屋を作れるチャンスなのだ。

【清潔感ならステンレス・キッチン】2階のリビングダイニングに主役として鎮座するのは、アイランド型キッチンである。キッチンという場所は生活の聖域である。毎日の食事を作るところであるから、生活感がでる。その生活を美しく、清潔であることを表現するために、欠かせないのがステンレスである。

【モザイクタイルの積分的な美しさ】浴室と洗面とトイレは水周りとしてまとまっている。しかし、ひとつひとつが十分の広さがあるので、窮屈には感じない。さらに床と壁が白のモザイクタイルを使っている。これは大きなタイルとは異なり、小さな要素がまとまり、大きな面を構成している美しさは必見だ。

【エアコンのあるべき姿(その1)】現代の住まいにおいて、空気環境は重要な要素である。特に日本のように高温多湿の地域ではなおさらだ。エアコンメーカーも凌ぎをけずる。快適な機能があるエアコンは多いが、その長方形のフォルムはどのメーカーは変わりがない。そのフォルムは美しいとは言い難い。

【エアコンのあるべき姿(その2)】空気環境は自然であることが人間にとって重要である。エアコンのフォルムもその空間に自然に溶け込むものでなければならない。il cielo la forestaのエアコンは天井埋め込み式でフォルムが見えない。それは空気のような存在となっている。(完)

http://www.kkf.co.jp/g/tanaka/ilcielo_fore/