リフュージュ・K

http://www.kkf.co.jp/g/aloha/refuge_k/

【近未来都市TOKYOは品川埠頭から始まった(その1)】リフュージュ・Kは港区港南にある。倉庫が立ち並んでいる地区である。しかし、東京の近未来化はここから始まったといっても過言ではないのである。港南は全域が埋立地であり、東京湾埋立3号地、東京港埋立9号地、品川埠頭埋立地からなる。

【近未来都市TOKYOは品川埠頭から始まった(その2)】隣接する地域は北が海岸、南が東品川、西は高輪、東は東京港を挟んで対岸に台場である。台場を除けば港区の最南端に位置し、東京港の重要埠頭の一つである品川埠頭を擁する。戦前戦後は寂しい地区であったが、21世紀になって変わり始める。

【近未来都市TOKYOは品川埠頭から始まった(その3)】貨物ターミナルなどの跡地再開発で、品川インターシティなどが開業しオフィスや商業施設が建ち並び、また東海道新幹線品川駅の開業により企業が次々と本社を移転した。近年ではタワーマンションの建設ラッシュが進み近未来化が加速している。

【TOKYO のダイナミズムを表現するために(その1)】JR山手線「品川」駅から歩いている。リフュージュ・Kの最寄駅は、東京モノレールりんかい線天王洲アイル」駅だが、利便性を考えると品川駅だ。実際に歩いてみると距離を感じるが、自転車を使えれば駅までの距離は、さほど気にはならない。

【TOKYO のダイナミズムを表現するために(その2)】大型のトレーラーが横を走っている。ちょっと都心ではお目にかかれないぐらいの大きさのトレーラーだ。港南大橋からのレインバーブリッジの眺めは美しく高揚した気分になる。リフュージュ・Kはもうすぐだ。品川駅から歩くこと20分で着いた。

【TOKYO のダイナミズムを表現するために(その3)】リフュージュ・Kの外観は、倉庫郡を思わせるような真四角なブロックを積み上げたような形態をしている。しかし、エントランス部分は、斜線が効果的に使用されており、「静」の中に「動」が組み込まれている。それは、東京の縮図のようである。

【浮遊感を体験できる桟橋】リフュージュ・Kの1階部分は、駐車場と駐輪場になっている。メインエントランスは2階部分にある。大階段をのぼりオートロックをくぐると、エレベータまではウッドデッキの桟橋となっている。その桟橋は東京湾と運河に挟まれて心地よい風が通り抜け、浮遊感を体験できる。

【開放的な共用廊下の向こう側】エレベータで9階まで上る。すべての部屋がメゾネットタイプになっているので、通常のエレベータよりもボタンの数が半分なので、あまり待つことなく目的の9階についた。共用廊下は半屋外となっているので、運河から品川の再開発が幾重のレイヤーのように重なって映る。

【玄関に収納したいのは靴だけではない】目的の部屋は、一番奥の角部屋である。シルバーの玄関ドアを開けると、左手にクローゼットがみえる。玄関のクローゼットの定番はシューズクローゼットだが、この部屋は、それに加えて衣服用のクローゼットが付いているので、コートなどのアウターにぴったりだ。

【台形の寝室は使いにくいか】玄関から右側に寝室がある。部屋のカタチが台形だ。台形なのでひとつの角が鋭角になっている。使いにくいように感じるかもしれないが、2LDKの間取りの寝室であれば、ベッドを置ければ十分であり。その鋭角に観葉植物やスタンドライトを置くと空間がより魅力的になる。

【開放的な大空間に慣れることはあるのか】玄関から廊下を抜けてドアを開けると、そこには自分だけの展望台が出現する。東京湾の水平線を眺めることができるリビングルームは、天井高さも5m以上あり、この水平線を独占できる。見慣れるという言葉があるが、この水平線は、見慣れることはないだろう。

【大空間の懸念を解消するために】大空間であることに対して、異論のある人は少ない。異論のある人の大空間の懸念事項は、暖房である。大空間であるので、エアコンだけでは暖まらない。その懸念を払拭するために、この部屋では床暖房が完備している。快適な大空間を演出するための縁の下との力持ちだ。

【アーチ型の手すりと階段の出会い(その1)】部屋はメゾネットとなっているので階段が必要である。階段は、リビングルームにある。この部屋の階段は普通の階段とは異なり、箱抜き型枠を使用したキャンティレバー型階段である。これは躯体のコンクリート打設と一緒につくるために高度な技術を要する。

【アーチ型の手すりと階段の出会い(その2)】階段には法規的に手すりが必要となる。デザイナーズ物件では手すりが厄介者にされてしまうことも多い。この部屋の手すりはアーチ型で空間に溶け込んでいる。というよりは、東京湾のレインボーブリッジと調和しているといった方が適しているかもしれない。

【まさかのガラス張りのウォーキングクローゼット】デザイナーズ物件では最近収納が多くはなったが、まだまだ収納がないデザイナーズ物件もある。この部屋では普通の収納だけでなく、ウォーキングクローゼットまで完備している。さらに驚いたことにリビングに向かってガラス張りとなっているのである。

【ダブルパノラマの浴室の贅沢感】メゾネットの上階に浴室が配置されている。洗面所兼脱衣室のドアはガラスドアとなっている。さらに浴室のドアもガラスドアとなっている。ということは浴室から東京湾を眺めることができる。さらに、反対側も窓からは品川エリアを眺めることができ、ダブルパノラマだ。

【ちょっとしたことで激変する空間(その1)】バルコニーは法規的には専用部分ではなく共用部分である。だから、避難経路として使用されることが多いので、バルコニーに固定するものを置いてはいけない。バルコニーは制約された場所だ。でも、そこにデザイン的なアプローチを試みたいのが本音である。

【ちょっとしたことで激変する空間(その2)】バルコニーにデッキ材を敷く。ちょっとしたことではあるが、そうすることにより部屋のフローリングと一体感が生まれ、空間が広く感じられ、さらに、この部屋のように眺望がよければ、最高のオアシスとなるのである。丹念に作り上げた部屋は美しい。(完)

http://www.kkf.co.jp/g/aloha/refuge_k/

spread

http://www.kkf.co.jp/g/tky/liv/spread/

等々力渓谷を守れ(その1)】spreadは東急大井町線「等々力」駅と「尾山台」駅の中間に位置している。等々力駅は将来地下化する計画があるらしい。田園都市線複々線化並びに混雑緩和のために追い抜き設備を設置するのが目的であり、老朽化した駅舎も改築されバリアフリー施設が設けられる。

等々力渓谷を守れ(その2)】しかし、駅の地下化によって当駅付近にある東京23区内で唯一の渓谷である等々力渓谷の湧水が妨げられ、渓谷の自然が破壊されるとの懸念から工事反対の声が上がった。駅周辺住民は「大井町線に急行は不要」の観点からも反対を行っており駅周辺にはのぼりが立っている。

等々力渓谷を守れ(その3)】等々力渓谷とは、谷沢川が等々力付近の国分寺崖線を流下する際に削り形成した渓谷で周辺で宅地化が進んだ今もなお森林が残り斜面より湧水が見られる。東京23区唯一の渓谷として東京都指定名勝となっており、渓夏は周囲より涼しく、近隣住民に憩いの場を提供している。

【黒は何にも染まらない(その1)】自由が丘から二子玉川行きの東急大井町線に乗って、何気なく外の街並みを見ていると、突然目の前に黒い物体が現れる。一瞬の出来事だったので、なにかの見間違いかと思い、等々力駅に到着した電車を降りた。等々力駅から歩くこと3分。なかなか建物が見当たらない。

【黒は何にも染まらない(その2)】建物の黒い影のようなものが見えた。その近くまできて、やっとspreadの本性を見ることができた。電車の中で一瞬現れた黒い物体こそがspreadだったのである。その黒光りする外観は他のどんな色にも染まらないという強い個性を発揮しているように感じた。

【黒い外観の効用】spreadの敷地は、すこし特殊なところにある。それは、目黒通りと東急大井町線が交差する場所であり、線路沿いの敷地である。交通量の多い目黒通りで発生する排気ガスとと電車による粉塵のことを考えると、白い外壁では汚れが目立ってしまうが、黒い外観では汚れが目立たない。

【必殺!真空コンクリート舗装(その1)】spreadの建物は、上空からみるとコの字型になっている。道路からかなりセットバックされており、黒い外観が街並と横並びとならないように、影のような存在を醸し出している。そして、共用廊下は坂道の滑り止めとして使う、真空コンクリート舗装である。

【必殺!真空コンクリート舗装(その2)】真空コンクリート舗装は、滑り止めとして発明されたものではなく、コンクリートの養生時間を短くするためであった。特徴的なリングは、規則的でデザイン的にも面白い。spreadは、さらにリングをくり貫き、芝生を植えているので、もっと個性的で面白い。

【共用廊下から見上げた風景】スチールメッシュとフレームの門扉をくぐり、共用廊下に入る。両側に黒い壁があるのは、日常では味わうことのできない非日常を演出してくれる。さらに行き止まりとなっている壁はガラス張りとなっており、打ち放しの階段がみえる。階段をどのように演出するかも楽しみだ。

【階段は上り下りするだけの場所ではない】玄関ドアをあけた。玄関ドアをあけるとすぐ階段がある。見上げると3階までの自分専用の階段がそこにある。3階までの階段は上り下りするだけなら、たぶん苦痛となるだろう。しかし、ここは自分専用の階段だ。自分なりのディスプレイをしても、きっと面白い。

【ブラック→グレー→ホワイト】黒い外観から黒い玄関ドアを開けて、グレーの打ち放しコンクリートと階段を上った先には、白い部屋が広がっている。世間の荒波に揉まれて、黒く汚れた心と体が、徐々に浄化されていくような不思議な感覚になる。ホワイトルームは住む人のカラーを受け入れてくれるのだ。

【P コンフックって何ですか(その1)】打ち放しコンクリートには、小さな穴がついている。これは施工するときに型枠となる材料を固定するために必要となるものであり、建築家の意図的なデザインではなく、職人が生み出したデザインである。その小さな穴は、通称でPコン(ピーコン)と呼ばれている。

【P コンフックって何ですか(その2)】Pコンは規則正しく並んでいるために、デザイン的に美しいだけでなく、何かの用途に使ってみようと考えれたのがPコンフックである。Pコンのねじ穴に取り付けるだけで、ハンガーかけが出来てしまうのだ。この部屋では複数のPコンを使って棚を取り付けている。

【隠すだけが収納ではない(その1)】一昔のデザイナーズマンションといえば、収納がないというのがよく言われていた。最近では収納も考えられている。しかし、普通の収納では話が済まないのが、デザイナーズマンションである所以であるのだ。そもそも収納には扉が必要なのか、ということから始まる。

【隠すだけが収納ではない(その2)】spreadの部屋にはL型の黒いパイプが天井からぶら下がっている。何か前衛芸術的なモニュメントかと思えるようなものである。実はこれが収納なのである。白い部屋は、全ての色を受け入れる。だから、衣服の色も吸収していくのである。色は空間を豊かにする。

【ちょっと色気のあるキッチン】シンプルなつくりの部屋なので、キッチンもシンプルでまとめたいところである。しかし、すべてを白でまとめてしまうと空間としての色気がない。そこで、キッチンの側面には、木調のイミテーションを施している。それが本物か偽物かは関係ない。ちょっとした遊びである。

【クリエイティブな空間をつくるために(その1)】spreadに訪問した人たちは、住まいの可能性に触れたはずだ。もっと自由に住まいを考えることの楽しさに触れたはずだ。この空間を作りあげるためには、ひとりの独裁者的な建築家だけでは出来ない。多くのその道のスペシャリストが関わっている。

【クリエイティブな空間をつくるために(その2)】spreadには、建築設計を担当したビルディングランドスケープのもとに、外構デザインに野老朝雄氏、照明デザインにリスポンシブ・エンバロイメント、家具デザインに大原温氏が集まり、エキサイティングなコラボレーションが実現したのだ。(完)

http://www.kkf.co.jp/g/tky/liv/spread/

MITEZZA C6

http://www.kkf.co.jp/g/trust_adv/mite_c6/

【やっぱり商店街をブラブラしたい(その1)】MITEZZA C6は、2つの路線が使える立地にある。ひとつは都営三田線板橋区役所前」駅であり、もうひとつは東武東上線「大山」駅である。MITEZZA C6から近い距離にあるのは「板橋区役所前」駅であるが、実は「大山」駅も捨てがたい。

【やっぱり商店街をブラブラしたい(その2)】大山駅には、ハッピーロード大山という地元住民に愛されている商店街がある。アーケードの延長は560m、1日の買い物客は約25,000人である。川越街道と東武東上線大山駅を結んでおり、東武東上線の踏切を介して、遊座大山商店街に隣接している。

【やっぱり商店街をブラブラしたい(その3)】ハッピーロード大山トリビアとして、商店街のマスコットキャラクター「みらいくん」と「ゆめこちゃん」の名付け親は、地元出身タレントの城咲仁である。地元にゆっくりとブラブラしながら楽しめる商店街があることは、物件にとって大きなプラスである。

【特徴的な外観も近すぎるとよく見えない】大山駅から商店街をぬけて、首都高速道路のある大通りを左折してまっすぐ進むとMITEZZA C6は現れる。特徴的な外観をしているのであるが、正面から建物が現れてこないので残念なことに外観をしっかりと見ることができない。しかし、オーラは感じる。

【エントランスホールの使い方(その1)】吹き抜けのエントランスホールから住居専用のオートロックをくぐりぬけると見たこともないような設備が並んでいる。エントランスホールは時々、いろいろな使い方がされている。よく見かけるのは、応接セットが置かれていて自動販売機が設置というものである。

【エントランスホールの使い方(その2)】しかし、MITEZZA C6のエントランスホールはちょっと違う雰囲気がある。それは自転車のメンテナンスゾルームとなっているのである。素人では使い方がよく分からない器具も自転車好きには嬉しいかぎりだろう。ヴィジュアル的にもそんなに悪くはない。

【都会人には嬉しい驚きの設備】エントランスホールの自転車のメンテナンスエリアのすぐ脇に見たこともないようなボックスがある。注意書きをよく読んでみると、なんと花粉除去ボックスなのである。確かに都会のスギ花粉はタチが悪い。田舎でスギの山で育った人でも都会に住むとスギ花粉がでるらしい。

【自転車置き場はどこでしょうか】エントランスホールに自転車のメンテンスゾーンがあるぐらいだから、さぞかし自転車置き場は豪華なのだろうと期待して探してみても自転車置き場がない。実は自転車はお部屋の中まで持って行くのである。そのためにエレベータも自転車が運べるように長細くなっている。

【あくまでも自転車利用を前提として】エレベータで住居階を目指す。エレベータのドアは入ったドアを逆側のドアが開く。この形式はよく見かけるが、建物構造的にそのような形式をしている場合が多い。しかし、MITEZZA C6は自転車での利用を前提として考えた結果のエレベータであるといえる。

【ホワイトグレーの共用廊下に2輪の花が咲く(その1)】エレベータのドアが開くと、そこにはライトグレーの塩ビシートのフロアとホワイトのタイルと玄関ドアの共用廊下が現れる。清潔感があり心地よいがすこし物足りない。よく見渡すとあるスペースに気がつく。そのスペースは自転車置き場であった。

【ホワイトグレーの共用廊下に2輪の花が咲く(その2)】部屋だけでなく共用廊下にも自転車が置けるようなっている。そして、そこに置かれている自転車は外国製でとてもカラフルである。まさに共用廊下に咲いた1輪の花ならぬ2輪の花のようである。空間がシンプルであるからこそ、とても際立つのだ。

【自転車は玄関に置くわけではない(その1)】一番右端の部屋に入ってみる。角部屋となっているので2方向から光が降り注いでいるので、昼間であれば照明がいらないぐらい明るい。想定していたよりも玄関が狭いことに気がつく。部屋に自転車を置くことを考えると玄関に置くのが一番使いやすいはずだ。

【自転車は玄関に置くわけではない(その2)】確かに玄関に自転車を置く部屋もある。しかし、たまたま開けたこの部屋は、奥に段差のあるスペースがある。フローリングではなくカーペットになっている。実はそこが自転車置き場のである。まさしく、自転車の自転車による自転車のための部屋なのである。

【しっかりと作りこんであるキッチン】自転車のための空間であるといっても、人間が住むことには変わりはない。人間が住むための設備もしっかりとしている。まずはキッチン。白を基調とした清潔感のあるキッチンは、コンロとシンクの間に作業スペースがあり単身者でも料理が楽しめるようになっている。

【ここまできたユニットバストイレの進化系】この部屋はバスとトイレが一緒になっている。シティホテルのシングルルームのようなユニットバストイレである。しかし、シャワーカーテンでバスとトイレを仕切るのではなく、ガラスによって仕切られている。シャワーカーテンが纏わりつくようなことはない。

【ときには建築家の声にもかたむけてみよう(その1)】MITEZZA C6の設計は、ナフ・アーキテクト&デザイン有限会社である。彼らがこの建築物にかけた思いは、「自転車に乗ろうをコンセプトに、環境・健康問題に対し、マンションにある駐輪場や共用部を考え直すこと」であった。そしてさらに

【ときには建築家の声にもかたむけてみよう(その2)】「建物は、自転車を軸に集まって住む各個人同士で小さな社会・文化をゆるやかに形成できる素地がある。サイクルピットは、コミュニティスペースになり得るし、玄関脇の自転車置場はご近所の会話が成り立つかもしれないという期待をこめた」(完)

http://www.kkf.co.jp/g/trust_adv/mite_c6/

N3ユニテ

http://www.kkf.co.jp/design/yamate/n3/

【ランニングにおすすめの芝公園(その1)】N3ユニテは港区の芝公園のエリアに位置する。芝公園増上寺を中心とした緑地帯であり明治6 年の開園と上野恩賜公園などと並ぶ古い公園である。もとは増上寺境内の敷地を公園としていたが、戦後の政教分離の考えで増上寺の敷地とは独立して整備された。

【ランニングにおすすめの芝公園(その2)】公園内にホテル、学校、図書館などの施設があるほか、グラウンドや散策路などがあり広大な公園施設となっている。また園内には芝丸山古墳、丸山貝塚もある。東端には港区役所、西端には東京タワーが建ちランニングスポットとして密かに人気が高まっている。

【ユニテダビタシオンに恋して(その1)】芝公園の駅から歩くこと5分ほどで、N3ユニテが見えてくる。都心部だがすこし路地的な空間にあるので下町のような感覚がある。外観を見ると他のマンションとは絶対的に違う迫力を感じるのである。それは名前にもなっている「ユニテ」に由来しているようだ。

【ユニテダビタシオンに恋して(その2)】建築を目指す者にとって、絶対的な巨匠がいる。それはル・コルビジュエである。フランスの建築家でありモダニズムの巨匠であり、建築の変革者である。その彼の代表作のひとつに「ユニテダビタシオン」という共同住宅がある。それはセンセーショナルであった。

【ユニテダビタシオンに恋して(その3)】ユニテダビタシオンは建築でありながら、ひとつの都市を形成する集合住宅であった。伝統的な工法が主流の時代に新しい工法や無駄を省いたデザインは、当時は批判を受けたが今では模範となっている。このN3ユニテでは、どのように継承されているか楽しみだ。

【エントランスでコルビジュエと出会う(その1)】エントランスは一目で分かる。2層吹き抜けの空間が外からも目立っている。そのエントランスホールはコルビジュエのユニテダビタシオンのような開放的なピロティのエントランスホールよりも小規模であるが、様々なところに現代への継承が垣間見える。

【エントランスでコルビジュエと出会う(その2)】まずは2層吹き抜けには、円錐のモニュメントがある。これは、ユニテ・ダビタシオンのピロティを支えている 1階部分の円柱を想起させ、さらにエントランスホールの壁の杉板の模様は、ル・コルビジュエが求めたモダニズムの荒々しさが表現されている。

【ささやかながら空中庭園】エントランスのオートロックをくぐり、エレベーターで上階にあがる。エレベータをでると、外部からの心地よい春風が吹き込んでくる。ささやかながら共用部の片隅には、小さな植栽が設置してある。それもユニテ・ダビタシオンの空中庭園からインスパイアーされたものである。

【ライフスタイルに合わせた8種類の間取り】N3ユニテの戸数は、賃貸で募集しているのは、23戸しかない。23戸という少数であることの理由として、間取りにある。8種類の間取りが用意されているが、そのどれもが魅力的空間を贅沢に使用している。それぞれの間取りの魅力について説明していこう。

【螺旋階段好きにたまならいAメゾネットタイプ】Aメゾネットタイプは、螺旋階段を使用しているので、天井が高く大窓も開放的で心地がよい。かっちりとした空間の中で、曲線美が美しい螺旋階段はそれだけで美術品のようである。また、浴室から外を眺めることが出来るのは最高のバスタイムを演出する。

【スタンダードあることが重要なAフラットタイプ】Aフラットタイプは、8種類の中で一番スタンダードなワンルームタイプである。必要以上に空間を使っているのではなく、必要最低限の空間を提供している。部屋は寝に帰る場所という、都心で働く企業戦士の休息の空間としては相応しい部屋に違いない。

【可動収納がライフスタイルに対応させるBフラットタイプ】Bフラットタイプの魅力は、南北に部屋があり、風通しがよい空間となっている。さらに可動収納が設置しており、その可動収納が南北にある2つの部屋どちらへも使用することができるサイズになっており、あらゆるライフスタイルに対応できる。

【階段室が書庫に変わるときBメゾネットタイプ】Bメゾネットタイプは、Aメゾネットタイプとは少し異なり、螺旋階段ではなく階段室となっている。その階段室の壁には本棚となっており、書庫としても機能する。本棚は空間でも場所をとる。それを階段室と兼ねることにより、空間がより使いやすくなる。

【ひとりで入居して将来的にふたりになっても大丈夫Cフラットタイプ】Cフラットタイプは横並びで2部屋が連結している間取りとなっている。大きくワンルームとして使用することも可能だし、最初はひとりで後にふたりで住むことになっても空間を好きなように仕切ることができるのが最大の魅力である。

【面積VS気積、2パターンあるCメゾネットタイプ】Cメゾネットタイプは2パターンある。2パターンとも間取りは同じの2LDKである。異なっているのは空間の使い方だ。C1タイプは横の広がりによる面積重視で、C2タイプはメゾネットの吹き抜けを利用して縦の広がりによる気積を重視している。

【N3 ユニテの全てを網羅したDメゾネットタイプ】N3ユニテの間取りを独り占めしたい人には、このDメゾネットタイプである。メゾネットによる吹き抜けに南北に部屋があり、風通しが良く、バスルームからの眺望も素晴らしい。フローリングに節ありを使用しているところが、外したデザインで面白い。

【空間と設備と建築家の役割(その1)】賃貸物件を数多く見ていると、なかなか入居者が決まらない物件がある。その理由として、まず挙げられるのが設備の老朽化である。毎年、新機種が発表されるので、常に最新であることは不可能である。建築家としては、そのような設備に惑わされてはいけないのだ。

【空間と設備と建築家の役割(その2)】デザイナーズ物件において、建築家の役割とは、たとえ設備が老朽化をしたとしても、そんな些細なことを吹き飛ばすほどの空間的な力強さが必要なのである。それは派手で大げさな空間ではなく、住まいへの真摯な眼差しから生まれる空間にこそ宿るのである。(完)

http://www.kkf.co.jp/design/yamate/n3/

石双居

http://www.kkf.co.jp/g/simada/ssk/

千歳船橋駅は千葉ではありません】石双居は小田急線「千歳船橋」駅が最寄駅である。千葉県船橋市を想像するが関係ない。由来は千歳村にあり、駅付近は湿地帯だったため「船橋」を架けていたことによる。当初は「船橋」の予定であったが、千葉県で「船橋駅」を使用していたため「千歳船橋」となった。

【由緒正しい森繁通り】千歳船橋駅は駅前商店街が充実している。ちとふなカードなる地域限定カードも見逃せない。さらに、商店街の中には俗称「森繁通り」があり、森繁久弥の自宅があった事から誰言うと無く名付けられたようである。この通りのお寿司屋さんには森繁から贈られた色紙の看板が出ている。

【手仕事の気持ちが伝わる外観(その1)】駅から歩くこと10分程で。石双居にたどり着く。デザイナーズマンションは外観が他の建物とは異なっているので、すぐに見つけることが出来る。しかし、この石双居は特別に特徴的な外観をしているので、逆に住宅のように見えない。それは倉庫のような印象だ。

【手仕事の気持ちが伝わる外観(その2)】しかし、倉庫のような寂しい感じはしない。その理由は外観の素材にある。外観はコンクリートブロックを積み上げている。ただ積み上げているわけではない。ブロックとブロックが接する面にある細工を施している。それはブロックの角を5?ほど削っているのだ。

【手仕事の気持ちが伝わる外観(その3)】このようなブロックに目地をとるようなことはしない。なぜならば相当の労力と時間を要するから。しかし、そのような職人の根性の結晶と化した外観は、どの倉庫よりも美しい。是非とも間近でこのブロックを見てほしい。そして、手仕事の気持ちを感じてほしい。

【自分の城に入る感覚を味わえる門扉】正面には共用部の大きな門扉がある。重厚なブロック壁の外観とは異なり、軽やかな木質ルーバーで構成されている。しかし、アルミの門扉とは異なり、鉄のフレームで出来ているので、すこし重い。でも、その感覚が自分の城に帰ってきた武将のような気持ちになれる。

【空を切り取る中廊下】普通のマンションの中廊下は暗い。しかし、中廊下は部屋を多く取るためによく用いられる。最近ではその暗さを活かして、ムードのある空間を演出するような方法をよくみかける。この石双居も中廊下だが天井がなく屋外である。両側の壁で切り取ったような五月晴れの空が心地よい。

【玄関ドアの色はマット・ブラック】部屋の第一印象として重要なのは玄関ドアである。既製品ドアは色気がないので部屋に入る前の興奮を掻き立ててくれない。まずは玄関ドアで、その部屋があんなことやこんなことになっているというような想像をしたいものだ。このマット・ブラックのドアは期待できる。

【ひんやりとしたクールな空間】玄関ドアを開ける。1階部分は土間となっている。実はこのデザイナーズ物件の本来の用途は、バイカーズマンションだったのだ。だからバイクスペースとして土間が確保されている。外観同様に内部の壁もブロックとなっている。ひんやりとして蔵のような空間となっている。

【最高のリラックスは最高の設備で(その1)】土間となっている1階部分の奥に水周りが設置されている。土間のライトグレー、ブロック壁のダークグレー、水周りの床タイルのブラックに浮かび上がるようなホワイトの衛生設備は、その美しさが際立っている。さらに水周りを仕切る強化ガラスが幻想的だ。

【最高のリラックスは最高の設備で(その2)】毎日忙しい現代人にとって、すべてを開放できるのは、バスルームである。最高のリラックスは最高の設備によるバスルームタイムによって育まれる。ヨーロッパの洗練されたシャワーや蛇口は、ユニットバスでは味わえない心地よさを演出してくれるのである。

【折り紙のような螺旋階段(その1)】この部屋はメゾネットタイプの間取りとなっている。メゾネットと言えば、階段が必要となる。人気が一番高いのは螺旋階段である。その独特のフォルムがいつの時代でも羨望の眼差しを受ける。しかし、階段スペースが大きくなり空間を壊してしまうケースもよくある。

【折り紙のような螺旋階段(その2)】この部屋も決して大きくはない。しかし、ある工夫をすることによって螺旋階段をうまく空間に配置している。まずは螺旋階段のある壁を窓にして開放感を演出し、さらに螺旋階段を薄い鉄板を折り曲げて加工し、折り紙の螺旋階段のような軽やかな印象を与えてくれる。

【繊細な印象を与える16ミリ幅のブラインド】螺旋階段の大窓に設置してあるブラインドが、荒々しい空間とは異なり、繊細な印象を与える。その理由として考えられるのは、ブラインドの羽の幅の長さがである。通常のブラインドの羽幅の半分であることによって、ブラインドの存在感を極力なくしている。

無垢フローリングの安心感が空間を包み込む】螺旋階段をあがり、上階にいくとそこは1階の質素でクールな空間とは対照的な温かみのある木の香りが空間となっている。無垢フローリングによって足元から伝わってくる柔らかさは、精神的な安心感を与えてくれて、空間を幸せで包み込むような感じになる。

【家具とフローリングのハーモニー】キッチンや収納家具は、部屋にとってはなくてはならない。しかし、コスト面から既製品で処理されてしまうのが賃貸物件の最大の悩みである。しかし、この物件のオーナーは太っ腹だ。キッチンも収納家具も無垢フローリングに合わせた木のオーダーメイドの一品ものだ。

【施工の限界を超える意味とは(その1)】この空間には驚くべきことがある。それはブロック壁に露出配線することなくスイッチプレートやコンセントプレートが美しく配置されているのである。ブロックにコンセントプレートを設置するためには細工が必要であり、それは高度な技術が要求されるのである。

【施工の限界を超える意味とは(その2)】施工を超えた時、それは芸術の域に達する。生活で芸術は不要であると思うかもしれない。しかし、生活に豊かさは必要である。それが観葉植物でもいいし、有名絵画でもいいし、アニメのフィギュアであっていいし、コンセントプレートであってもいいのだ。(完)

http://www.kkf.co.jp/g/simada/ssk/

LIOS Mishuku

http://www.kkf.co.jp/g/mti/j_r/lios_mishuku/

三宿は今でもトレンディ(その1)】リオス三宿国道246号線淡島通りの間の丘の上に建っている。三宿の町が、烏山川が削った谷の斜面に位置し、南側が三宿一丁目、北側が三宿二丁目、谷底部分が境となっている。また、水の宿る地ということで「水宿」とついたものから転じて「三宿」となった。

三宿は今でもトレンディ(その2)】三宿交差点付近には、1990年代にパティスリー、フランス料理、インテリアショップなど、いわゆる「トレンディ」な店が集まり、世に知られるようになった。最寄りの駅(東急田園都市線池尻大橋駅三軒茶屋駅)から徒歩10分程で隠れ家的存在の街と言われる。

【隠れ家的な外観】リオス三宿の外観の全体像の写真はたぶんない。全体像は未知なる存在なのである。その理由としては、丘の斜面に建てられており、住宅街に囲まれているので、その全体像が掴めないのである。しかし、通りからエントランスのほうに目をやると曲線的なフォルムに期待が膨らむのである。

【魅惑のバックストレート(その1)】通りから建物エントランス前までは距離がある。そのスペースが駐車場となっているのであるが、駐車場のための車道ではない。そこにはこだわりのディテールに溢れているのである。まずは、隣の敷地との擁壁となっている壁は、タイルが張られているが普通とは違う。

【魅惑のバックストレート(その2)】それはタイルの目地が異様に大きいのである。通常は5?であるが、3倍の15?もある。さらに目地材も粗目のモルタルを使用している。そうすることによって、規則正しいタイルに遊びが生まれ、ユニークな表情を作り出している。壁に埋め込まれた街灯も魅力的だ。

【重厚な門扉で気持ちを切り替える】壁に埋め込まれた街灯も木製のフレームでオリジナリティが豊かである。さらにエントランスのドアも中世のヨーロッパの古城の門扉のような重厚さがある。そのエントランスドアは少し重い。しかし、その重さによって仕事とプライベートを切り替えることができるのだ。

ヘリンボーンがお出迎え】エントランスの門扉を開けてエントランスホールに入ると、なんか普通とは雰囲気が違う。足元を見てみるとフローリングの張り方が、ヘリンボーン張りとなっているのである。杉の葉を並べたような張り方は、大工の技術が問われる。完成したフローリングは、どこよりも美しい。

【毛足の長いカーペットのメリット】エントランスのオートロックを抜けて共用廊下にはいる。すると急に静かになった。靴の音が消えたのである。それは共用廊下が毛足の長いカーペットで出来ているからである。共用廊下の靴音は意外と響くものだ。入居者への優しい配慮がされた設計であることが分かる。

【1 階が2階で地下が1階で】1階だと思っていたエントランスホールは実は2階なのである。地下が1階なのである。日本は地上階を1階として海外では地上階は 0階と表記する。日本だと1階から地下に降りると-1階になる。1階と-1階の間があるはずで、0階から始まるのが正しいという説が有力だ。

【玄関の収納は靴だけではない】地下でありながら1階の部屋の玄関ドアを開けてみる。そこにはシューズクローゼットがある。それはどこのマンションでもある。しかし、この部屋はさらに幅20cmぐらいの狭い収納がある。靴は置けないが本が置けそうだ。出かける前に通勤で読みたい本を置いておける。

【ウソではない天井の高い部屋】部屋のセールスポイントとして「天井が高い」ということがよく明記されている。しかし、そのほとんどが無理に天井を高くしているので、梁型が露出してしまい空間が歪で天井の高さの魅力を活かしきれていない。この部屋は見事に梁型を処理し、本当に開放的で気持ちいい。

【人間工学に則ったL型キッチンの利便性】賃貸マンションでL型キッチンはなかなかお目にかかれない。しかし、人間工学的にみても使いやすいキッチンはL型キッチンなのである。調理する上で必要最低限の動きが要求される。長細いキッチンでは動く距離が長い。それは料理の味にも少なからず影響する。

【未来の冷蔵庫とは(その1)】この部屋の弱点はL型キッチンによって生じてしまった。それは冷蔵庫の置き場がキッチンからすこし離れて部屋に置くことになったからだ。しかし、食品を保存するだけの冷蔵庫という時代は終わりつつある。これからは冷蔵庫がライフスタイルの中心となっていくのである。

【未来の冷蔵庫とは(その2)】昨今データを保存するサーバーの容量が問題となっており、いずれ家庭にもサーバーを置く時代がくる。その時に何がサーバーとなるか。それは冷蔵庫である。冷蔵庫の冷却設備はサーバーの付加軽減につながり、データの貯蔵庫として将来的には冷蔵庫が部屋の中心となる。

【体積で勝負するウォーク・イン・クローゼット】ウォーク・イン・クローゼットは、通常の収納よりも大きい。しかし、ウォークするスペースを確保するために空間を最大限に使うことはできない。しかし、この部屋のように天井が高いと、面積ではなく体積での収納を考えると、その使い方は無限に広がる。

【すこしのことで大きく変わるバスルーム】施工的にも費用的にもユニットバスが選ばれる理由となっている。しかし、ユニットバスは、どこも同じ仕様でちょっと飽きてくる。他とは違う変化が欲しい。この部屋ではユニットバスの袖壁をガラスにして、開放感を演出している。ちょっとしたことだが嬉しい。

【ドライエリアを超えた空間(その1)】建築で地下の部屋をつくった時は、ほとんどの場合で避難経路としてのドライエリアを設けなければならない。避難経路として考えるのであれば、幅は1,500?あれば十分である。しかし、幅が1,500?のドライエリアは薄暗く部屋の魅力を半減させてしまう。

【ドライエリアを越えた空間(その2)】リオス三宿の地下の部屋にもドライエリアはある。しかし、誰もそれがドライエリアであることに気がつくことはない。幅が5,000?あり、青空プライベートゾーンという新しい空間へ変わっている。すでにドライエリアという言葉は死語となっているのだ。(完)

http://www.kkf.co.jp/g/mti/j_r/lios_mishuku/

KINOWA

http://www.kkf.co.jp/design/tokyu/kinowa/

江田駅ってどんなところ?】東急田園都市線で渋谷から各駅停車で30分ぐらいのことにある駅で典型的な郊外のベッドタウンである。駅はこじんまりとしているが東急ストア、ユニクロ、診療所があるので住むうえで不自由なことはない。最近は30代の若夫婦が戻ってきているので、街として活気がある。

【幼稚園のような可愛らしい雰囲気】江田駅を降りて歩くこと2分。低層の長屋のような住宅が見える。それがKINOWAである。2階建ての木造で、中心にはシンボルツリーである菩提樹があり、その木の周りが入居者のためのガーデンとなっている。子供たちが楽しく遊んでいる。まるで幼稚園のようだ。

【郊外だから許される19戸の魅力】KINOWAの総戸数は19戸である。マンションでは少ない戸数だが、このようなテラスハウスの賃貸物件だと、たぶん都心ではお目にかかれない。都心の土地では、天高く建物を作らないと賃貸は成立しない。郊外の土地だから許される地に足のついた感じが魅力的だ。

【でっこみひっこみのエントランス】玄関ドアは、すこし上がったところにある。入居者は木製デッキの5段のほど階段をのぼって、それぞれの玄関ドアを目指す。玄関ドアの位置は、建物形状によって、平面的みるとバラバラである。でも、それにより隣りの部屋とのプライバシーが保つ役目を果たしている。

【やっぱり無垢フローリングが好き】玄関ドアを開けると、普通の賃貸物件とは違うということを直感できる。その要因となっているのは、無垢フローリングの存在感である。目で見ても、その自然な斑が美しく、そして、足で触れるとその木の温かみを感じ取ることができる。やっぱり日本人は無垢材が好き。

【段差のあるリビングダイニングキッチン(その1)】玄関ドアの右斜め前に階段があり、左斜め前にはプライベートの中庭がある。その中庭を囲んでいるクリアガラスから向こう側の広いスペースを見ることができる。そこはリビングダイニングキッチンとなっている。しかし、普通とは形状が異なっている。

【段差のあるリビングダイニングキッチン(その2)】それは、リビングとダイニングキッチンの間に4段ぐらいの階段があり、それにより空間を分けている。安易に壁によって分けるよりも開放的である。さらに、階段に家族で横一線で並んで、外のガーデンを見ながら談笑するのも心が癒され楽しいだろう。

【大事なところは塗装で仕上げる】玄関ドアから気になる存在である。それは階段だ。吹き抜けとなっているので、2階から降り注いでいる光によって階段が一段とキレイに目に映る。その階段の壁だけ塗装を使用している。他の壁はクロスだが、大事なところを塗装で仕上げることにより、空間の質は高まる。

【段板から生えてきたスチール(その1)】階段は無垢のフローリングと使用している木材は異なるが、着色することによりフローリングの一体感を図っている。さらに、この部屋の手すりはキレイだ。手すりがキレイという表現は掃除が行き届いていることではない。その姿形に無駄がなくシンプルで美しい。

【段板から生えてきたスチール(その2)】そのシンプルな手すりを実現しているのが、あたかも段板からスチールの手すりが生えているような納まりである。これは後固定する手すりと比較して、下準備と段取りが綿密に行われていないと実現できない。この現場の潜在的なクオリティの高さの証明でもある。

【シンプルすぎる手すりの顛末】シンプルで美しい手すりは、下手に空間のイメージを邪魔しないのがよい。しかし、シンプルで美しい手すりは、完璧という訳ではない。美しさのために犠牲にしたものがある。それは安全性である。美しいバラには棘がある。シンプルで美しい手すりには、安全ネットがある。

【光庭のある暮らし】2階にあがるとそこには中庭がある。1階にも中庭があったが、2階の中庭は光庭と表現したほうがいいかもしれない。光庭の3面をガラスとすることによって、多くの光を部屋に取り込むことができる。物干しの場所と限定するにはもったいない。光庭のある暮らしをもっと楽しみたい。

【収納充実の寝室は決して狭くない】2階には南北に寝室が2部屋ある。その大きさは4.8畳と6.1畳ということで、あまり大きくはない。しかし、収納が十分にある。ワンルームであれば、その部屋で生活を完結する必要があるが、KINOWAのように大きな間取りでは、寝室を大きくする必要はない。

渡り廊下走り隊に思い出あり】2階の2つの寝室を繋いでいるのが、廊下である。しかし、その廊下は片方が光庭でもう片方が階段となっているので、開放的な雰囲気は、渡り廊下のような錯覚を起こしてしまう。小学校のときに渡り廊下を全速力で走って、怒られたことが今日のことにように思い出される。

【夜だけでなく昼も入りたいお風呂】2階には洗面所と浴室がある。浴室はFRP防水で仕上がっており、そこに浴槽を設置している。また、光庭に向けて横長窓を設けているので浴室が明るい。昼であれば太陽の光を浴びながら、そして、夜であれば星空を眺めながらリラックスタイムを楽しむことができる。

【現在版住宅すごろくとは(その1)】「住宅すごろく」という言葉をご存知だろうか。高度経済成長のときだが、木造アパートから始まり、賃貸マンション、分譲マンションを経て、ゴールとして庭付き一戸建てを所有するというストーリーである。しかし現在ではあまりリアリティを感じることはできない。

【現代版住宅すごろくとは(その2)】現在では住まいのあり方は、多様性に富んでいる。ゴールとして庭付き一戸建てを選ぶ人は少なくなっている。KINOWA のような賃貸で庭付き一戸建ての擬似体験をすることもできる。庭付き一戸建てを売り払い、セキュリティの高いマンションを購入する人も多い。

【現代版住宅すごろくとは(その3)】住まいに勝ち負けはない。庭付き一戸建てが全てにおいて優れているわけではない。大切なのは、自分のライフスタイルを見つめ直し、身の丈にあったライフスタイルを楽しむことである。そのひとつとして既存の空間に自分の思いを描けるリノベーションがある。(完)

http://www.kkf.co.jp/design/tokyu/kinowa/