アーデン芝公園

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御成門はもうありません】アーデン芝公園は、芝公園という名称がついているが、実は最寄り駅は都営三田線御成門駅となっている。東京タワーに近いということ「東京タワー前」という副称がついている。御成門は、すでにない。御成門交差点の付近に同名の門があり、かつての増上寺域の北端にあたる。

芝公園で十分です(その1)】増上寺があるところは、現在芝公園として住民に親しまれている。御成門周辺はオフィスビルが多いところなので、食品などを多く取り揃える総合スーパーなどはない。しかし、仕事で忙しい人にとってはスーパーよりも2コンビニがあればいい。それよりも芝公園は魅力的だ。

芝公園で十分です(その2)】その芝公園内にホテル、学校、図書館などの施設が点在するほか、グラウンドや散策路などがあり広大な公園施設となっている。東端には港区役所、西端には東京タワーが建ち、特に東京タワーを正面に望む東側の散策路はデートスポットとして、ロケ撮影地として親しまれる。

【緑とウッドデッキが生み出す別世界(その1)】御成門駅から大通りを一歩入ったところにアーデン芝公園は現れる。都心のデザイナーズマンションはオフィスビルという名のコンクリートジャングルに埋もれてしまい、探すのも一苦労することがある。しかし、アーデン芝公園はすぐに発見するできたのだ。

【緑とウッドデッキが生み出す別世界(その2)】オフィスビルが集積している地域は、建蔽率80%以上である。敷地いっぱいに建物を建てることができる。それが許された地域なのである。さらに、アーデン芝公園は角地なので緩和条件により建蔽率100%も可能な敷地だと思うが、実際は違うのである。

【緑とウッドデッキが生み出す別世界(その3)】建物を道路境界線からセットバックすることによって空地を生み出している。そこには植栽を設けている。さらに、通路にはウッドデッキを敷いている。植栽も落葉樹ではなく常用樹を植えているので、打ち放しコンクリートの外観とのコントラストが美しい。


【宙に浮くステンレスボックス】アスファルトとは違うウッドデッキの心地よい感触が足裏から伝わる。ガラスのオートロックドアを抜けると左手に宙に浮くステンレスボックスが見える。これは集合ポストだ。普通なら日陰に追いやれる集合ポストも、このようにデザインされるとモダンなオブジェのようだ。

【こんなところにリビングルーム】エントランスホールはいろいろと手を加えて演出していること多い。そのほとんどがローテーブルとソファーが置いてある。このアーデン芝公園では、ちょっとニュアンスが違う。それは、エントランスホールの一部にフローリングを貼って、リビングのように仕立てている。

【国境の長いトンネルを抜けると雪国であった】エレベータで9階まで向かう。エレベータのドアを開くと、そこには真っ白な銀世界が広がっている。雪が積もっているわけではない。天井・壁が白塗装、床が白タイル。中廊下となっているが、白で統一されていることによって、まったく暗さを感じないのだ。

【ドアノブからかんじる期待感】玄関ドアの前に立ってドアノブに手をかける。いつもと感触が違う。よく見るとドアノブの形がタバコぐらいの大きさで、仕上げがステンレスのヘアラインとなっている。ドアノブなんて気にしないけど、その先の空間で何かが起こっていることを期待させてくれるドアノブだ。

【トイレ・トランスフォーマー(その1)】玄関ドアを開けると、共用廊下の延長戦でベッドルームまで白タイルが繋がっている。ベッドルームまでの通路にはいくつも扉がある。その扉は通常よりも大きい。そして、見たことないほどの大きさの長蝶番がついている。その扉をあけると、なんとトイレがある。

【トイレ・トランスフォーマー(その2)】トレイが目の前にあるのだが、その空間が狭い。しかし、扉に大きな長蝶番についていた理由がわかる。それは、観音開きとなっている扉を目いっぱいあけると、通路を完全に遮ることができ、新たなトイレの空間が生まれるのである。まさに、トランフォーマーだ。

【飾らないカウンターキッチン】ベッドルームとキッチンが同じ空間にある、いわゆるスタジオタイプである。しかし、アイランドキッチンなので、空間におけるキッチンの主張は強いと平面図では思うかもしれない。しかし、白で統一された無駄のないデザインのキッチンは、その存在を飾らず、主張しない。

【計算しつくされたビルト・イン・エアコン】エアコンは、天井埋め込みのビルト・イン・エアコンである。空間がスッキリするので用いられるが、ここでは理由がすこし違うようだ。アイランドキッチンのレンジフードのダクトを隠すためのスペースにエアコンの埋め込んでいる。巧みに計算されているのだ。

【フローリングと壁の取り合いに職人技あり(その1)】建築の納まりでは、悩ましい問題が山積だ。仕上げは、目に見えるところであるので、その悩ましい問題をクリアにする必要がある。よく現場で議論される仕上げの納まりのひとつに、無垢フローリングと打ち放しコンクリートの壁との取り合いである。

【フローリングと壁の取り合いに職人技あり(その2)】なぜ、問題となるのかというと、無垢フローリングは生きているので伸縮する。しかし、打ち放しコンクリートの壁は固いので、取り合い部分で伸縮に対応できず、伸長時に床が盛り上がってしまう。床と壁にクリアランスを取ると見た目が美しくない。

【フローリングと壁の取り合いに職人技あり(その3)】アーデン芝公園では、ある方法を採用している。それは打ち放しコンクリートの壁に切り込みを設けて、フローリングの伸縮に対応できるようにしている。これは躯体を操る職人と仕上げを操る職人の融合技をもって行うことができる職人技の極致である。

【全体と部分】建築には「全体」と「部分」がある。「全体」とは、空間が醸し出し空気で感じる人によって変化するものだ。しかし「部分」とは、建築を作るための職人技の積み重ねであり不変である。そして、時として気付かれないことである。アーデン芝公園は「全体」と「部分」が融合している。(完)

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