石双居

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千歳船橋駅は千葉ではありません】石双居は小田急線「千歳船橋」駅が最寄駅である。千葉県船橋市を想像するが関係ない。由来は千歳村にあり、駅付近は湿地帯だったため「船橋」を架けていたことによる。当初は「船橋」の予定であったが、千葉県で「船橋駅」を使用していたため「千歳船橋」となった。

【由緒正しい森繁通り】千歳船橋駅は駅前商店街が充実している。ちとふなカードなる地域限定カードも見逃せない。さらに、商店街の中には俗称「森繁通り」があり、森繁久弥の自宅があった事から誰言うと無く名付けられたようである。この通りのお寿司屋さんには森繁から贈られた色紙の看板が出ている。

【手仕事の気持ちが伝わる外観(その1)】駅から歩くこと10分程で。石双居にたどり着く。デザイナーズマンションは外観が他の建物とは異なっているので、すぐに見つけることが出来る。しかし、この石双居は特別に特徴的な外観をしているので、逆に住宅のように見えない。それは倉庫のような印象だ。

【手仕事の気持ちが伝わる外観(その2)】しかし、倉庫のような寂しい感じはしない。その理由は外観の素材にある。外観はコンクリートブロックを積み上げている。ただ積み上げているわけではない。ブロックとブロックが接する面にある細工を施している。それはブロックの角を5?ほど削っているのだ。

【手仕事の気持ちが伝わる外観(その3)】このようなブロックに目地をとるようなことはしない。なぜならば相当の労力と時間を要するから。しかし、そのような職人の根性の結晶と化した外観は、どの倉庫よりも美しい。是非とも間近でこのブロックを見てほしい。そして、手仕事の気持ちを感じてほしい。

【自分の城に入る感覚を味わえる門扉】正面には共用部の大きな門扉がある。重厚なブロック壁の外観とは異なり、軽やかな木質ルーバーで構成されている。しかし、アルミの門扉とは異なり、鉄のフレームで出来ているので、すこし重い。でも、その感覚が自分の城に帰ってきた武将のような気持ちになれる。

【空を切り取る中廊下】普通のマンションの中廊下は暗い。しかし、中廊下は部屋を多く取るためによく用いられる。最近ではその暗さを活かして、ムードのある空間を演出するような方法をよくみかける。この石双居も中廊下だが天井がなく屋外である。両側の壁で切り取ったような五月晴れの空が心地よい。

【玄関ドアの色はマット・ブラック】部屋の第一印象として重要なのは玄関ドアである。既製品ドアは色気がないので部屋に入る前の興奮を掻き立ててくれない。まずは玄関ドアで、その部屋があんなことやこんなことになっているというような想像をしたいものだ。このマット・ブラックのドアは期待できる。

【ひんやりとしたクールな空間】玄関ドアを開ける。1階部分は土間となっている。実はこのデザイナーズ物件の本来の用途は、バイカーズマンションだったのだ。だからバイクスペースとして土間が確保されている。外観同様に内部の壁もブロックとなっている。ひんやりとして蔵のような空間となっている。

【最高のリラックスは最高の設備で(その1)】土間となっている1階部分の奥に水周りが設置されている。土間のライトグレー、ブロック壁のダークグレー、水周りの床タイルのブラックに浮かび上がるようなホワイトの衛生設備は、その美しさが際立っている。さらに水周りを仕切る強化ガラスが幻想的だ。

【最高のリラックスは最高の設備で(その2)】毎日忙しい現代人にとって、すべてを開放できるのは、バスルームである。最高のリラックスは最高の設備によるバスルームタイムによって育まれる。ヨーロッパの洗練されたシャワーや蛇口は、ユニットバスでは味わえない心地よさを演出してくれるのである。

【折り紙のような螺旋階段(その1)】この部屋はメゾネットタイプの間取りとなっている。メゾネットと言えば、階段が必要となる。人気が一番高いのは螺旋階段である。その独特のフォルムがいつの時代でも羨望の眼差しを受ける。しかし、階段スペースが大きくなり空間を壊してしまうケースもよくある。

【折り紙のような螺旋階段(その2)】この部屋も決して大きくはない。しかし、ある工夫をすることによって螺旋階段をうまく空間に配置している。まずは螺旋階段のある壁を窓にして開放感を演出し、さらに螺旋階段を薄い鉄板を折り曲げて加工し、折り紙の螺旋階段のような軽やかな印象を与えてくれる。

【繊細な印象を与える16ミリ幅のブラインド】螺旋階段の大窓に設置してあるブラインドが、荒々しい空間とは異なり、繊細な印象を与える。その理由として考えられるのは、ブラインドの羽の幅の長さがである。通常のブラインドの羽幅の半分であることによって、ブラインドの存在感を極力なくしている。

無垢フローリングの安心感が空間を包み込む】螺旋階段をあがり、上階にいくとそこは1階の質素でクールな空間とは対照的な温かみのある木の香りが空間となっている。無垢フローリングによって足元から伝わってくる柔らかさは、精神的な安心感を与えてくれて、空間を幸せで包み込むような感じになる。

【家具とフローリングのハーモニー】キッチンや収納家具は、部屋にとってはなくてはならない。しかし、コスト面から既製品で処理されてしまうのが賃貸物件の最大の悩みである。しかし、この物件のオーナーは太っ腹だ。キッチンも収納家具も無垢フローリングに合わせた木のオーダーメイドの一品ものだ。

【施工の限界を超える意味とは(その1)】この空間には驚くべきことがある。それはブロック壁に露出配線することなくスイッチプレートやコンセントプレートが美しく配置されているのである。ブロックにコンセントプレートを設置するためには細工が必要であり、それは高度な技術が要求されるのである。

【施工の限界を超える意味とは(その2)】施工を超えた時、それは芸術の域に達する。生活で芸術は不要であると思うかもしれない。しかし、生活に豊かさは必要である。それが観葉植物でもいいし、有名絵画でもいいし、アニメのフィギュアであっていいし、コンセントプレートであってもいいのだ。(完)

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