スタイリオ池尻大橋

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【池尻大橋駅は実は・・・】東急田園都市線の渋谷駅の一駅手前にあるのが池尻大橋である。駅名の由来は、玉川線時代には池尻町に「玉電池尻」、上目黒に「大橋」、それぞれの電停があった。このほぼ中間地点に設置されたことから「池尻大橋」の名称とされたらしい。実は、開業直前に別の名前があった。

【大橋池尻じゃなくて良かった】「池尻大橋」は、開業直前までは「大橋池尻」駅となる予定で、実際に自動券売機で発売される乗車券の試刷りがプレス発表されたものには「大橋池尻」と印字されていた。今ではマニアでは高値で取引されているとか。大橋池尻はすこし呼びにくいので、池尻大橋で良かった。

【エントランスはオレンジとト音記号が目印】池尻大橋駅を降りて地上にあがり、いつも賑やかな246号線に沿って、渋谷方面に歩くことを5分。スタイリオ池尻大橋に到着。1階と2階はデザイナーズ家具で有名な「SEMPRE」が入る予定だ。また、この建物のトレードマークはオレンジとト音記号だ。

【オレンジではなくライトブラウン】オレンジのように見えている色は、実はライトブラウンであることが分かった。なぜライトブラウンなのか。それは、ブラウンが土の色であり大地・自然を表しており、そこに生活者のホワイトを掛け合わせ、ライトブラウンという自然と人間の調和色が生まれたのである。

【音をどのようにクリアするか】ト音記号は、この物件が楽器の演奏が可能であることを表している。しかし、それだけではなくい。音というのは見えないが、人間の暮らしで重要な要素である。特に大きな幹線道路に面していると騒音が気になる。それをどのように克服するかもこの物件の課題となっている。

【オートロックもピッ】緩やかなエントランススロープを渡り、ライトブラウンの左官櫛仕上げの壁がメインエントランスとなっている。そこのオートロックパネルは普段見ているものより大きい。四角い黒のアクリル板がついている。実はこれはPASMOでオートロックが解除できるようになっているのだ。

【眺望を重視するか、楽器演奏を重視するか】この建物は二つのプランで構成されている。まずは6階から9階までが眺望を優先した大きなワンルームプラン。そして、4階と5階が楽器演奏を重視した遮音スタジオプランとなっている。それでは最上階の9階の眺望を優先したお部屋を見てみることにしよう。

【バルコニーのような屋外階段】エレベータで9階についた。中廊下となっているが、エレベータホールは明るい。それは屋外階段の入り口が大きく開放されており、そこから太陽光が降り注ぐ。通常では屋外階段は目に付かないところに設置するが、ここでは住民の共用バルコニーのような存在となっている。

【ちょっとしたこだわりが嬉しい】玄関ドアのスコープの上にフックがついている。これはクリスマスリースなどを飾ることができるようになっている。自分でつけると大変なので最初からこのようなフックが設置してるのは嬉しい。すこし物足りない共用部に季節感を出すための楽しい装置としても機能する。

【塗装のようなクロス】マンションでは、コストパフォーマンスとメンテンスが容易であるからクロスが使用される。しかし、できるだけ均一な壁面を表現するには塗装が一番適しているが、コストが高い。この部屋では、塗装のように見える薄いクロスを使用している。その施工技術は言うまでもなく難しい。

【収まりのより可動収納】部屋は大きなワンルームとなっている。壁や建具での仕切りがなく気持ちよく使うことができる。まったく部屋を仕切ることができないかというと仕掛けがある。それは部屋の収納が可動となっているのである。柱と壁の窪みに収まっているので可動のようには見えないのが魅力的だ。

【眺望と快適を兼ね備えるために】9階から眺める景色で都心に緑が多いことに気付く。それを全身で感じるためには、この部屋のように床から天井までの大型サッシが最適である。しかし、窓が大きいと熱損失が大きくなり部屋の快適性が失われる。そのためにこの部屋ではペアガラスで快適性を保っている。

【ダブルの遮音スクリーン】眺望が最高の9階から下がって、5階の部屋へ向かう。中廊下ではなく片廊下となっており、外部に面しているのでとても明るい。さらに、首都高速道路の音を和らげるために遮音のスクリーンが設置されている。部屋にはガラスブロックとなっており、さらなる遮音となっている。

【すべてはグランドピアノの為に(その 1)】都内でグランドピアノが弾ける建物はほとんどない。それは、高い遮音性が要求されるからだ。この4階と5階は、見事にグランドピアノの為に遮音性を実現している。まずは玄関ドア。集合住宅用既製品としては最上級エアタイト仕様で隙間を極力排除している。

【すべてはグランドピアノの為に(その 2)】玄関ドアホンは、ガラスブロック面に設置されている。しかし、比重の大きいスチール製品としており内部にはグラスウールを充填している。また、換気ダクトはスタジオを横断しないように計画され、スタジオ内のダクトも距離減衰を加味した遮音となっている。

【すべてはグランドピアノの為に(その 3)】床スラブは厚みが25センチもあり、十分な遮音性があり、さらに床下地はグラスウール敷き込みタイプの遮音二重床となっており、床仕上材であるコルクタイルは、フローリングと比較して振動吸収に有効である。さらに、コルクタイルは素足でとても心地よい。

【すべてはグランドピアノの為に(その 4)】壁下地は全て防振ゴムなどで躯体から絶縁している。壁仕上は、プラスターボード二重張りにケイカル板6ミリを加えて、重装備とすることにより、面比重を大きくし、遮音性を高めている。一部の壁は羽目板仕上となっており、フラッターエコーを防止している。

【すべてはグランドピアノの為に(その 5)】天井下地は防振吊子を使用し躯体との絶縁をしている。天井仕上は、岩面吸音板であり、室内の過剰な残響を軽減すると同時に遮音にも有効である。これだけの遮音を追求しても音楽ホールほど完璧ではない。しかし、これほど完璧に近いものは他にはない。(完)

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