GOHONGI HILLz

http://www.kkf.co.jp/g/teru/5hongi_hills/index.html

学芸大学はいずこに】この建物の最寄り駅は東急東横線学芸大学駅です。地図を見ていても学芸大学が見当たりません。調べてみると既に1964年に小金井市に移転しているのです。ということは移転して45年も経っているのにいまだに学芸大学を名乗っているところが、なんか僕は好きになりそうだ。

【五本木の交差点にて】学芸大学駅から歩くこと5分ほどで、五本木という交差点にぶつかる。この交差点には「LAWSONSTORE100」や「オリジン弁当」があったりと一人暮らしには嬉しいお店が揃っている。この交差点からすこし横道に入りアンティークショップを曲がったところに建物はある。

【飽きないのが打ち放しコンクリートの魅力】その建物の外観は、打ち放しコンクリートだ。僕は打ち放しコンクリートをよく見ているが、それぞれの建物にそれぞれの打ち放しコンクリートの特徴があって、同じように見えて同じでないことが魅力のひとつであると感じている。この建物も独特の特徴がある。

【打ち放しコンクリートとガラスの相性】この建物は、バルコニーとなっている部分の手すり部分をガラスで構成している。そのガラスに半透明のガラスを使用しているところが、この建物のコンクリートとガラスの調和を図っている。透明のガラスだと、その透明性が強すぎて外観のバランスを壊してしまう。

【低層エレベータはなんか嬉しい】この建物は前面道路から眺めていると3階建てぐらいに見える。エントランスからオートロックドアを開けると、そこにはエレベータが見える。3階建てなのにエレベータがついているなんて、高級感があって嬉しいと感じる。しかし実はこの建物は5階建てだったのでした。

【グレーと白、そして時々透明】エレベーターには乗りたかったけど、目的のお部屋は102号室。1階のお部屋でした。玄関ドアを開けると、大きなワンルームが目に前に広がる。そこは打ち放しコンクリートのグレー、床タイルと建具の白、水まわりの透明のガラスで構成されたコンパクトな空間であった。

【床は長尺塩ビシートでも悪くない】部屋の床は長尺塩ビシートを使っている。長尺塩ビシートは、ロール状で、大きな床面の仕上げに適しており、同時に硬質で耐久性・耐摩耗性に優れている。このため、学校、病院、オフィスなどでよく使用されている。住居用で使われているケースは珍しいが悪くはない。

【洗面所の床の石材は素晴らしい】部屋の床が長尺塩ビシートであったのに反して、ガラス張りの洗面所・トイレ・お風呂場の床は石材が使用されている。色合いが打ち放しコンクリートに近いグレーで色のバランスが整っている。さらに、床がタイルとは違うので素足でも冷たくなく足の裏がとても心地よい。

【タイル張りのお風呂に感動】ワンルームのマンションの部屋だと、ほとんどがユニットバスを使用している。なぜならば、低予算で改修時にも簡単に取り外しが出来るからである。そのような時代の流れに逆行して、この部屋はタイル張りでお風呂場を作っている。また、大きなタイルは空間に安定感がでる。

【お風呂の意外なチェックポイント】お風呂場には、最近では浴室乾燥機が付いていることが多いので意外と気にならないけれども、やっぱり窓はほしいと思っている人は多いはずです。この部屋お風呂場とさらにトイレにも小窓がついているので換気するにも都合がとてもよい。大事なチェックポイントです。

【コンクリートカウンターに挑むプロジェクトX的な職人魂(その1)】建築工事において躯体工事は戦場であると表現する人たちがいる。それは、現場で汗水流して一所懸命に働いている職人たちである。コンクリートの躯体は、もともとはドロドロした液体である。それが短時間で固まり始めるから厄介だ。

【コンクリートカウンターに挑むプロジェクトX的な職人魂(その2)】コンクリートを型枠に流し込む作業は、実は現場監督と現場職人の息のあった連係プレーが、重要なのである。連係プレーが乱れてしまうと、構造耐力不十分の欠陥マンションとなってしまう。まさしく生きるか死ぬかの戦場なのである。

【コンクリートカウンターに挑むプロジェクトX的な職人魂(その3)】そのような緊迫した工事中に、コンクリートのカウンターを精度よく作るのは、至難の業である。しかし、それを難なくやり遂げてしまうところに、日本の職人のチャレンジ精神が詰まっているのである。まさしくプロジェクトXである。

【デザイナーズインテリアといえば amadana】デザイナーズインテリアの代表といえば、amadanaである。その名前は江戸時代の日本橋に存在した漆職人の町「尼店(あまだな)」に由来するらしい。実はこの部屋にもamadanaと縁があった。それは、IHコンロがamadana製である。

【都心に生まれた現代の中庭とは(その 1)】お部屋ばかり気にしていたが、1階なので実はお庭がついてくるのが嬉しい。このお庭は周囲の住宅に囲まれていて、すこし窮屈に感じる。しかし面白いことに周囲の住宅の開口部が、このお庭に面していないのである。だから、プライベートの空間となっている。

【都心に生まれた現代の中庭とは(その 2)】お庭とはパブリックな存在である。サザエさんでもお庭で伊左坂さんと近所付き合いをしている。しかし現代においてはお庭はプライベートな存在として位置づけるほうが適当である。高度経済成長の歪みから生まれた現代の中庭は、お部屋の延長であると言える。

【無駄なく空間を広く使える壁式 RC(その1)】それにしてもこの部屋は、無駄な梁や柱が露出していないので、空間が広く使える。その理由は、この建物の構造にある。鉄筋コンクリート構造には二つの工法がよく用いられている。それは、ラーメンRC構造と壁式RC構造である。この建物は後者である。

【無駄なく空間を広く使える壁式 RC(その2)】壁式RC工法は、壁の耐力によって剛構造となりパワーで地震に耐える構造である。そのために柱や梁が目立ってこないのが特徴である。デザイナーズマンションは見かけのデザインだけでなく、その構造躯体にもデザイナーの魂が宿っているのである。(完)