アリスマナーガーデン銀座ウォーク

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オフィスビルと個人商店が雑踏中で、独特な息遣いをしている街がある。現在と過去が交錯する街は、それだけで魅力的であり人々をひきつける。スーツの男性と割烹着の女性がすれ違うことが非日常ではなく日常的に起こっていることに、この街の許容範囲の大きさに驚かれる。私は川べりに向かって歩いた。

川には大きな橋が架かっていて、多くの車が通っている。川にはたくさんの船が泊まっている。その川にそって歩いていくと、その物件は私の目の前に現れた。明らかに他のビルとは違う様相を呈していた。その建物は周りが個人商店が多いということもあり、都心に建つ灯台のような雰囲気を醸し出していた。

建物に近づいていくと、エントランスらしきものが見えてきた。エントランスは小さい。しかし、大きいエントランスがいいとは限らない。エントランスは小さくても、必要最低限のポストと宅配ボックスはある。私にはそれで十分であった。大きなエントランスに魅力を感じていない。重要なのは部屋である。

10階までエレベータで移動した。エントランスホールも小さかったが、エレベータまでの廊下も暗かった。すこし沈んだ気持ちでエレベータに乗った。エレベータは静かに上昇した。10階に着いたときに、私の気持ちは晴れやかになった。エレベータのドアが開いたときに、そこには日本の原風景があった。

私の目の前に広がっている世界は日本の下町とオフィスビルが混在する原風景と現風景が同時に見えるという不思議ではあったが、懐かしい感じがした。左側を見渡すと運河が見える。そこから清清しい風が吹いている。夏のシーズンになると花火をみることもできるだろう。それこそ、本当に日本の原風景だ。

共用部の廊下で感慨に耽ってしまった私は、部屋にさらなる期待を高めた。ゆっくり部屋の扉を開けた。扉を開けると目に入ったのは、十分なぐらい大きさのシューズクローゼットである。シューズクローゼットの上部にはブレーカーがついており、私はそれを上げた。部屋が明るくなり、私は周りを見渡した。

この部屋はメゾネットになっている。メゾネットの部屋は階段があるので、階段部分がデッドスペースになるので非常に使いにくい印象を受ける。しかし、メゾネットはその階段部分をどのように使うかで部屋の個性が出しやすい。私はメゾネットこそデザイナーズマンションの最大の魅力であると思っている。

なぜならば、そこに遊びの空間が存在するからである。四角い部屋で完璧に家具やベッドが配置できたとしても、そこに遊びがないと部屋にいても落ち着かない。どうしようもないスペースこそが空間を魅力的にするものだと私は思う。この部屋も階段下をどのように使うかを考えるのは、私にとって楽しみだ。

階段の向かい側には、キッチンが置いてあった。置いてあったという表現が正しいと思う。システムキッチンではなくこの建物オリジナルのキッチンであり、収納が充実ではなく、ステンレスのテーブルにガスコンロとシンクが備わっているだけである。実はオープンキッチンである場合は、シンプルが重要だ。

なぜならば、システムキッチンは使いやすい反面、設備が充実すればすれほど、そのヴォリュームは空間で大きな存在となってしまう。クローズキッチンやカウンターキッチンでは、設備を充実してキッチンが主役としてつくってもおかしくない。しかし、階段のある空間ではキッチンは目立たないほうがよい。

すこしキッチンにこだわってしまった自分がいたことを恥ずかしくなった。この部屋の魅力は、階段から空につながる床から天井までのハイサッシである。ハイサッシからは川にかかる橋がよくみえる。その橋を行き交う親子が楽しく談笑しているように見える。それを見ているこちらも何か楽しくなってくる。

その扉を開けると、そこは私の知らない世界が飛び込んできた。トイレと洗面台が一体となっている仕様であるが、トイレが置いてあるところの壁が上から下まで窓になっており稀にみる開放的なトイレなのであった。別の表現をするのであれば、天空トイレとでも言うべきか。私はあまりの衝撃に扉を閉めた。

意外と気にならないのが、メゾネットの上階と下階のフローリングの色の違いである。下階は明るいナチュラル系フローリングで朝の明るい日差しでもっと空間が明るく気持ちよく感じるだろう。上階はダークブラウンのシック系フローリングは、ベッドルームの部屋にちょうどよい雰囲気を醸し出してくれる。

高層マンションが密集している地域がある。高層マンションは上階ほど気持ちがいい。しかし、気になることもある。それは地上100mのところで人と目線が合うという心地悪さ。それが嫌で高層マンションを敬遠する人も多いと聞く。ここのマンションは他の建物よりも抜き出ているので、その心配はない。

この部屋に住むということは、この街に住むということと同義であると私は思う。どんなに街を鳥瞰して気に入っても実際の街の雰囲気や活力や賑わいは伝わってこない。それを思いっきり味わうためには、街を散策して街を楽しむことだ。私は部屋を抜け出してエントランスを目指してエレベーターに乗った。

エントランスから外に出ると、陽は若干傾いていたが、まだまだ厳しい日差しがアスファルトを照りつけている。あまりの暑さに近くの住民はアスファルトに水撒きをしている。身近な温暖化防止打ち水が注目を集めている。打ち水は朝夕の気温が低いときに行うことにより、その効果を持続することができる。

打ち水をする場所としては最適だ。なぜならば、近くには亀島川隅田川が流れている。その心地よい川の流れが心に潤いを満たしてくれる。都心に住むとは心が疲れるものだ。そのときに外に出て気分転換できる場所が近くにあることは、重要だと私は思う。そして、これからもこの場所を愛し続けるだろう。

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